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STAY SALTY ...... travelers on the way

9.4 2020

writer / traveler   Mana(まな)

Mana

ON THE WAY

 
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桃の味、

ローマの夕陽

Flavor of Peaches,

Sunset in Rome

旅は人生の縮図なのかもしれない。

 

始まって、味わって、幕がおりて。

 

それを繰り返すうちに、「生きるコツを掴めた」
ちょっとだけそんな気がしている。

 

 

初めて飛行機に乗ったのは、生後6ヶ月の頃だった。

父の転勤に合わせて、

母とともにニューヨークへと向かった。

 

その時すでに、

「旅」する人生が始まっていたように

今ふりかえると思う。

いや、旅行会社で働く父、海外旅行好きな

祖父母と母のもとに生まれた瞬間から

もうそれは決まっていたことなのかもしれない。

 

旅を愉しむことが、

わたしの人生の軸になるということが。

「愉しむこと」。

 

それはようやく最近できるようになってきたことだ。

 

過去にモヤモヤしたり、

未来にソワソワしたりして、

今目の前にあるものを味わうことなどせず、

これまでずっと過ごしてきた。

 

例えば、桃。

 

まんまるい桃が目の前にある時、

ただ切って、器に盛って、口に運ぶ。

そんな調子だった。

 

グラデーションのあるピンク色も

ふんわりとした甘い香りも

柔らかな肌ざわりも

包丁をいれた時の弾ける音も

口いっぱいに広がるみずみずしさも

あの儚い味わいも

 

全部ないことにしていた。

ところが、旅をかさねている間に

人生の真ん中にある「味わう」ことが

ずいぶんと上手になっていた。

 

日程が決まっている「旅」。

その中では、時間に限りがあることを

意識せざるおえない。

「終わり」も何度も経験してきた。

 

深呼吸するように、

存分にきらめくひと時を身体に取り入れなくちゃと
旅のすべてを惜しむようになったのは、

きっとそのせいだろう。

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そんな歴史ある街で、惚れ惚れとしたのが夕陽だった。

 

ホテルの近くで見つけたスポットへ

毎日同じ時刻に出向いた。

古い街並みに映える夕陽と

ローマの夕暮れ時の空気に心をあずけた。

 

日常の不安も忘れ、

観光地をめぐらなくちゃとセカセカすることもなく、

ぼんやりと空を眺めていた。幸せなひと時だった。

 

見つけたと書いたけれど、

実はそこは誰もが知っている舞台。

 

映画『ローマの休日』(1953年)で

オードリー・ヘップバーン演じるアン王女が

ジェラートを食べるシーンで有名なあのスペイン階段だ。

 

その階段の上から、スペイン広場と夕陽を愛でた時間は

今も心に優しく刻まれている。

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3泊でローマに滞在したことがあった。

2017年の終わりのこと。

 

ローマといえば、観光名所の宝庫だ。

コロッセオ、フォロ・ロマーノ、

真実の口、トレヴィの泉、サンタンジェロ城、

ナヴォーナ広場、サン・ピエトロ大聖堂、

ヴァチカン美術館、システィーナ礼拝堂などがある。

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8月の終わりのある夕方、外のベンチに座っていた。

都内でもお気に入りの、洗練された空間が広がる場所だ。

 

夏はこの時間帯から夜までの風が気持ちよくて、

外でついぼんやりと過ごしたくなってしまう。

 

ふと見上げた空は、少しずつ桃色に色付き始めていた。

 

高くそびえるビルの横を飛行機が通る。

るんと音楽を奏でるように、心が踊ったのがわかった。

 

きっとまた旅に出かけられる日が来るだろう。

 

それまでの間、旅が教えてくれた

生きるコツを心の支えに

日々を過ごそうと想う。

秋のそれに変わってしまう前の迫力ある

真っ白な雲を目に焼きつけたり

 

帰り道にお花屋さんに寄って

とびっきりの一輪を選んでみたり

 

黄昏時にたそがれてみたり

 

隣にいる家族の匂いをくんくんかいでみたり

 

もうすぐ旬が終わってしまう桃を

五感で味わい尽くしたりしながら。

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photographs and text - Mana

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writer / traveler

Mana(まな)

旅と日々に学び、言葉を紡いでいます。

 

東京生まれ。幼少の頃をニューヨークで過ごす。上智大学卒業。

2015年から年に3回ほど海外へ出かけるようになりました。

noteにてエッセイ集「宝石箱」や旅の情報を、

YouTubeにてラジオ「 #旅の美学 」を配信中。

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ON THE WAY

STAY SALTY ...... travelers on the way

8.2 2020

designer / photographer / traveler   HOLLY

HOLLY

旅暮らしという

ライフスタイル

と共に

Along with the lifestyle of travel and living

一年半前から旅暮らしというライフスタイルを送っている。

 

始まりはごく一般的な小さなワンルームの部屋、

当たり前のように会社に勤め賃貸で暮らしながら、

この生活は本当に自分の選択なのか、

世の中の当たり前に流されているだけなんじゃないかと思い始めていた。

 

「いっそ定住を辞めてみよう、旅しながら仕事をしてみよう。」

そう考えた私は勤めていた会社を辞め、

持ち物のほとんどを手放し、

片道だけの航空券とバックパック一つで旅にでた。

 

我ながら無鉄砲である。

しっかり持続可能な状態を作った上で旅に出る方が正しい気はするが、とりあえずやってみようというのが性分。

 

こうして私の先行きの思いやられる旅暮らしが始まった

___。

旅をしていて日本とは全く違う文化に戸惑うも、

人々の優しさと親しみ深さに大変助けられた。

その国に対し抱いていたイメージは変わり、

メディアの情報を鵜呑みにせず

自分自身で体験することの重要さを知った。

 

紛争をしていた国の今の姿を見るために

旧ユーゴスラビアの国々も巡った。

今は平和になったが、当時の建物に残る爆撃の跡や

おびただしい数の墓地などから、

やはり紛争は現実だったのだと思い知らされる。

 

一度訪れると

「世界のどこか」で起きたことが、

「私が暮らした、あの人が住んでいるあの場所」で

起きたことに変わり、

自分事として捉えられるようになるのだ。

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その後も一つの町で数日過ごしては次の街へ移動していくスタイルで、中東・東欧諸国の国境を次々と超えていった。

 

見たことないものを見て、

知らなかったこと知り、

私の目を通して見た美しい国々の姿を

カメラに納めていく日々を過ごした。

 

時には野宿し公衆トイレで髪を洗うという

原始的なことをしたのも、

クレジットカードを紛失して窮地に陥ったのも

今ではいい思い出。

 

 

「旅」と「暮らし」を両立させるためには仕事が必要で、

デザインやライターのお仕事でわずかなお金を稼いだ。

初めて収入が入ったときは特別嬉しかったが、

収入が全くない月も多く、

自分の知識、実力、全てが及ばないことを悟った。

 

一度帰国してWebデザイン、マーケティング、ブランディングを勉強し、フリーランスデザイナー兼フォトグラファーとして活動を始めた。

 

コロナウィルスの影響により移動はしにくくなったものの、これからやりたいことはたくさんある。

動画も撮りたいし本も書きたい、

また再び世界を旅できる日を夢見て、

今は自分のスキルを磨く時間として前向きに捉えている。

 

これからも旅暮らしというライフスタイルと共に、

こんな生き方ありなんだ!と誰かの勇気になれば嬉しい。

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designer / photographer / traveler

HOLLY

HOLLY

旅暮らしを始めて一年半。ぼっち好きでたまに豪快。

フリーランスデザイナー兼フォトグラファーとして

グラフィック、Web、写真、イラストを中心に活動中。

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STAY SALTY ...... travelers on the way

ON THE WAY

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7.1 2020

Illustrator / writer / traveler   吉原 紅

Beni Yoshiwara

どちらもおいしい、

アナログ旅と

デジタル旅

Both delicious, analog journey and digital journey

初めて一人で海外に出たのは、1995年。20歳の時だった。

開港して間もない関西国際空港から、シンガポール経由でロンドンに向かう便。

その目的はイギリスの語学学校に通って英語を身につけることだったため、純度100%の遊び目的ではなかった。

それでもわたしにとっては初めての海外渡航で、しかも単独、通学という条件も重なっていたため、決してお気楽なものではなかった。

時代背景。

今のようにネットで航空券が買える時代でもなかったし、携帯電話を利用していたのはごく一部の人だけだった。

その代わりにわたしがその初めての海外に持っていったのは、「地球の歩き方」という定番ガイドブックと、ヨーロッパの鉄道時刻表を網羅した「Thomas Cook」という2冊の本。

旅のお供というにはそれらはあまりにも分厚く、持ち運びにくく、重かった。

事前に情報を得る手段は、本の中の文字にしかなかったのだ。

そんな時代の話。

航空券は旅行代理店に足を運び、直接その場で現金購入した。

そこに至るまでの情報源は、リクルート社が発行していた情報誌。

そのためのお金は、必死にバイトで貯めた。
当時わたしは水も弾くような20歳の女子大生だったが、興味の方向はほぼ旅に限定されていた。

それくらいの女の子と言えば、恋やファッションやメイクに全神経を注ぐくらいの勢いがあるものだ。

ところがわたしが当時着ていたものと言えば、ビブレで買った千円そこらの服だったし、メイクも適当。

本来ならそんな分野に注ぎ込まれるはずの20歳女子が働いた理由は、旅の軍資金目的でしかなかった。

華も色もあったもんじゃない。

わたしの主要な渡航目的はイギリスの語学学校への通学であったが、旅程はそれだけでは済まなかった。

学校のカリキュラムを修了した後は、フランスに渡ってドイツにまで足を運ぶという目論見を立てていたからだ。


その理由も実に、貧しい若者らしかった。

イギリス単純往復なんて勿体ない。

どうせヨーロッパに渡るのなら、もっといろんな場所に行ってやる。

そう思ってのことだった。

重たい鉄道時刻表を用意したのは、その移動を考慮したからだ。

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結果わたしは、イギリス、フランス、ドイツの三カ国を訪れる計画を立てた。
今でもその時の記憶を呼び起こすたび、若気の至りと無謀さにふっと口角が上がる。

ロンドンIN、パリOUTのオープンジョー。しかも乗り継ぎ要の航空券。

それは複数枚綴りの、薄っぺらなカーボン紙だった。

現金をそのまま持ち運ぶと盗難の危険性があったため、旅行者用小切手(トラベラーズチェック)に替えて持っていった。

これらを紛失することに対しては、道中いつも緊張感があった。

持っていた紙の類はだいたい必需品に相当していたし、風で飛んでいくようなペラペラカーボン紙の航空券は、パスポートに並ぶ貴重品だった。

 

あれから25年。
重たいガイドブックは不要に。

現地情報や地図、分厚い時刻表はすべてアプリに。

トラベラーズチェックは世界から消え、決済のほとんどはカードに。

クリックのみで予約決済されるヴァーチャル航空券。

スマホだけですべて完了する搭乗手続き。

かつて大事に持ち歩いていた航空券は、濡れもしなければ破れもしなくなった。

これだけのシステムが、25年どころか15年そこらで完成してしまったのだ。

それでもわたしが幸運に思っていることは、アナログからデジタルへと紡がれていった旅スタイルの変遷とその違いを、この身で体験できたことだ。
何度も見開いたために破れかけた地図を広げながら、知らない外国人に指差しで道を尋ね、それでも道に迷っては幾度も絶望した。

紛失や盗難が怖くて、シャワーに行くにも航空券を所持していった。

自分の足で歩き回って、勘だけを頼りに泊まる宿を決めた。

時刻表Thomas Cookを捲っては鉄道の乗り継ぎ時間を調べ、ペンでチェックを入れた。

不特定多数が発信する溢れんばかりの情報がなかったために、自分の五感と見聞をよく頼りにした。

20歳からそんな旅を2年ほど続けた後は、世間一般的に就職・結婚・育児の到来。

それらはわたしの旅への触手を、見事15年ほども制した。

自分と子供と仕事のことしか頭になかったその15年の間に、かつての旅のスタイルは消滅してしまっていた。

そこから海外一人旅を再開したのは2013年。

わたしが知っていたあの頃の旅は、少なくとも日本では手に入らなくなっていた。

新たなるデジタルなトラベルを実際に経験してみて、驚きとテクノロジーの進化に対する感謝は勿論あったが、失われたものに対する一抹の寂しさも否めなかった。

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わたしたちはもう、そう簡単に道に迷えなくなった。
自分だけの秘密だと思っていた場所は、既にネットで発見されている。
わたしたちはもう、パスポートとカードとスマホだけで海外に飛べる。
話題の最新スポットも、口コミで人気の宿も、瞬時に知ることができる。

あの時代のアナログな旅も、今の時代のデジタルな旅も、どちらも旅であることに変わりはない。

それでも時々思い出してはこう思う。

あのもどかしさと不便さを、あの歳で経験できて良かったと。

 

二十歳。

早すぎず、遅すぎずのいい塩梅だ。

 

だけど40代となったわたしが今再び、あのアナログ旅をやれと言われたらどうだ?  やれる自信はあるか?  ふっと失笑してしまう。
だからわたしはそう、やっぱり幸運だったのだ。

photographs and text - Beni Yoshiwara

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Illustrator / writer / traveler

吉原 紅

Beni Yoshiwara

1975年生まれ。求人広告代理店勤務を経て、フリーランスのグラフィックデザイナーに。

20歳の時に海外一人旅に目覚め、そこからバックパッカーとして数ヵ国を旅しました。

現在はイラストを描いたり文章を書いたりしながら、40代での世界一周を夢見ています。

絵と文章の他は、写真とお洒落も好き。日々の生活の中にある美をいつも探しています。

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