STAY SALTY  DAYS COLUMN

9.4.2020

Coffee +

コーヒーがあるところに人が集まる !? そして、写真も映画も芝居も。

For Enjoying Toyama Life !

働くことこそ遊びなれ

プロローグ

 

2020年3月28日(土)、本来ならば富山に戻って来て初めての公演の初日を迎えるはずだった。

太陽珈琲焙煎本舗の店舗は完全に休みにして、東京から迎える役者や地元スタッフと関係者達のために、

プロデューサーとしてカラダを開けておく予定にしていた。

思いつく限り出来る限りの対策を講じるべく、

既にマスクを観客の人数分以上確保しラテックスの手袋や次亜塩素酸水も大量購入しておいた。

が、北京から故郷である富山に戻って来て、初の自主公演を強行してしまうには、

成功する確信が満たされることが無く言いようがない不安が拭い切れなかった。

たとえ実施する側のエゴで本番を強行しても、今度は観客席を埋める事が出来なかっただろう。

ナマで演じる芝居を、無観客で上演するのは有り得ない選択だ。

(初めから無観客で上演する意図の芝居の企画ならば話は別だ。)

稽古開始の頃の早い段階で、演出松村との打ち合わせでは、

もしこの企画の関係者の中で一人でも感染者が出たら公演は中止にするという取り決めにはなっていた。

毎日世界の新しいニュースを目にする度、

松村と頻繁にメッセンジャーを交わし本当に公演を実施出来るのか出来ないのかを一喜一憂し検討し続けた。

そして、本番を迎えるべき2週間を前にして、ナント東京の方で、

劇場や稽古場等の貸しスペースが完全に封鎖され本番直前の仕上げが出来なくなってしまったのである。

その頃富山県内では未だ感染者第一号も出ていなかったのだが、

この未曾有の事態を鑑み、公演は無期延期とした。

この芝居の公演の実施と珈琲豆の焙煎屋の営業は関係無いと言えば関係無いのだが、

臥薪嘗胆の思いで、その時が来るまでは焙煎屋の通常営業は止め、

ついでに自分の髪も切らずに伸ばし続けポニーテールにすることにした。

ホントに関係無いのだけれど、そう言う事にした。

 

Cold Brew “水出し” Coffee

この2020年の夏から、やっとコールドブリューコーヒーを始めてみた。

数年前からだと思うが、コーヒー業界はもちろんコンビニやスーパーマーケット、コストコに至るまで、

猫も杓子も「水出しコーヒー」「水出しパック5個セット」などと

世の中が異常なくらい水出し水出しと五月蠅く感じたので、すっかりウチではやりたくなくなってしまった。

何社かガラス製の水出しコーヒーメーカーも仕入れて箱買いしてあったのだが。

コーヒー器具を予め仕入れて店の棚に並べておいても、ホコリをかぶるばかりで。

驚く事に、メーカーからの仕入れ値と一般のネット通販の価格があまり変わらなかったりもする。

そりゃ百貨店が廃れ個人商店が汲々してしまう訳だ。

でも、コーヒー器具の仕入れ値が高いから水出しコーヒーを売りたくなくなった訳では無い。

 

「本当に水出しコーヒーは美味しいのか?」


日本国内においては、紙フィルターに入れたコーヒーの粉に

お湯を注ぎ入れるハンドドリップコーヒー(pour over cooffee)が最も人気がある。

これがコーヒーメーカーだったとしても、基本的な構造はドリップコーヒーの形を成しているはずだ。

そして、ドリップコーヒーの場合

コーヒーの粉にお湯を注ぎ紙フィルターによって漉された抽出液を飲むのが通常のスタイルだ。

人の好みは多種多様で、一概に言いのけててしまうのはカナリ乱暴にも思えるのだが、

コーヒーの粉の量、お湯を注ぐ時の温度、注ぐお湯のスピード、、、、

コーヒーがカップに注がれ、最終的に自分が口にするまでには幾つもの課程のそれぞれの選択肢によって大きくコーヒーの味が左右されるものなのである。

その幾つもの課程の中で、お湯を注ぐ時の温度が常温以下の水の場合

「水出しコーヒー( cold brew cooffee )」と呼ばれる事になる。

では、その注ぐ温度で何が違ってくるのか?

 

一般に、コーヒーは温度が高いお湯で抽出されると苦味や雑味が強く出てしまう傾向にある。

ウチの店にいらっしゃるお客さんの中で

「最近自分でコーヒーを淹れてるようになったんだけど、なかなか美味しく淹れられなくて~」

と言われる方には、先ず

「お湯を沸かしたヤカンからそのままコーヒーの粉に注いでませんか?」

と聞いてみる。

沸かしたばかりの100℃グラグラのお湯をコーヒーにダァ~ッと直接注がれてしまっている可能性が高い。

結果、その所為で苦味や雑味が強く出てしまっているのだ。

一方、水で常温で抽出する場合は、高い温度帯で出て来てしまう成分が出にくい状態であるために、

その他の成分がゆっくり抽出され、比較的まろやかな優しいテイストに感じられたりする事になる。

でも、温度が高いからと言って毒が出て来る訳でもないし、

「美味しくない」と断言してしまうのは気が早いと言うか、

蓼食う虫も好き好きで、

その苦味や雑味がたまらないと思ってる人も絶対に居るに違いないと思ってしまうのだ。

例外はあるものだ。

 

また、今売られている水出しコーヒーメーカーを使ったり、

コーヒーを一晩くらいボトルに入れてゆっくり抽出するタイプのやり方では、

なんだか水っぽく薄い仕上がりになってしまう事が多い。

個人的な感覚に他ならないが、

自分が「?」と引っ掛かるものを口八丁手八丁で売り抜けられるほど長けた商売人ではない。

そんな事もあって、ウチの店では水出しは低い評価に位置づけられていた。
 

しかし、今春ウチの店に某社の水出しコーヒーメーカーがやって来た!
飲む際に満足な濃さを得るためには普通の5倍くらいの粉の量が要る。

このマシンの場合、4Lの抽出に500gのコーヒーの粉が必要だったりする。

特長としては常温の水でドリップして抽出したコーヒーを

更に何度もコーヒーの粉の上に注ぎ入れ多重抽出する事が出来る構造になっている。

 

インドネシア マンデリンG1の深煎り豆を使って抽出してみたら、

程良い苦味を持ちながら、しっかりコクも有りつつ、いつまでも口の中に残る嫌な後味が無い。

グラスに氷を入れても負けない濃さがある。

今までウチの店で作った水出しコーヒーの中で最も理想に近いものが出来た。

 

新型コロナウイルス拡散防止対策として、丸の内の店舗は積極的に自粛休業することにしたが、

オープンな状態で営業が出来る外部のテント出店の営業は、

富山に戻って来てコーヒー屋をヤルと決めた時から続けてやっているので、休まないことにした。

 

月の第1日曜日、富山縣護國神社とやまのみの市はもう25年以上も続けられている骨董市のイベントである。

残念ながら、今年2020年の4月と5月と6月がイベント自体があっさりと中止になってしまい、

7月5日(日)は久しぶりの出店となった。

記録では、最高気温25.3℃。最低気温20.8℃。のみの市にテント出店するようになって5年目の経験から、

「最高気温が25℃以上になったらアイスコーヒーを売り始める」というウチの店の条件をクリアして、

満を持しての水出しコーヒーデビューとなった。

 

水出しコーヒーメーカー「マシン」と偉そうに言っても普通のドリップに比べれば、

同量の抽出液を作るためには10倍くらいの時間を要してしまう。

水出しが量産型ではないため、昨年までと同様お湯出しアイスコーヒーも並行して販売することにした。

今年はブラジル セラード カラメリッチ#18をベースにして、マンデリンの苦味を芯に加えたものにした。

お湯でやや濃いめに抽出したコーヒーを氷を使い

急冷して冷蔵庫保存したものをアイスコーヒーとして販売するのである。
そうすると、お客さんから「アイスコーヒーください~♫」と言われると、

こちらは「今年のアイスコーヒーは二種類ありまして~」といちいち説明しなければいけない事態に陥る。

予想は出来ていた。

想定内である。

水出しのアイスコーヒーは、粉を大量に使うこと、抽出に時間が掛かってしまうことを考慮して、

普通のお湯出しのアイスコーヒー400円に対して100円高い、販売価格500円。

そうした場合、

「あなたのコーヒーは、金のコーヒーですか? それとも銀のコーヒーですか?」

といった問い掛けをしているような、

「ポテトはよろしかったですか?」的なお客さんの自尊心をくすぐるような会話になってしまい、

こちらは若干の後ろめたさを持ち合わせてしまう。

実際「どちらのコーヒーにされます? 水出しは100円高いのですが~」と言うと

「じゃぁ、水出しで!」と返される事がほとんど。

お湯出しよりも手間が掛かっている分、水出しの方に軍配が上がるのは当然の事として単純に嬉しい。

けれど、世の中はこの数年のコーヒー業界の宣伝でそんなにも水出しコーヒーが普及していたのか!? 

いつの間に、そんなにも大衆は水出しが好きになったのか!? 

マジぱねぇ水出しコーヒー!

自分自身が天邪鬼で水出しを敬遠していたことは別に後悔していないが、

世の中の現実を目の当たりにしてみて驚くしかなかった。

そんな水出し現象は護國神社のみの市のみに留まらなかった。

月の第4日曜日もしくは最終週の日曜日に開催される越中大手市場の出店でもほぼ似たような様子が繰り広げられたのだ。

 

その間、特に深い理由はないのだけれど、

インドネシア マンデリンG1 のシングルオンリーで抽出していたものを、

今度は25% ブラジル セラード カラメリッチ#18をブレンドして、

カカオっぽい雰囲気を足しほのかな甘みを加え少しだけマイルドな仕上げに変えることにした。

この越中大手市場も、富山市内の丸の内に店舗を構える前から出店を開始して早5年も経った。

太陽珈琲焙煎本舗にとってはホームグラウンドのような場所だ。

2015年の春、5月だったと思うが、富山で最初にテント出店したのが越中大手市場だった。

テント出店することによって、

アンテナショップのように富山のお客さんを目の当たりにしてみたら何か反応を感じ取れるのではないか、

実店舗を作った時の前宣伝にもなるのではないかとか、

とにかく五十歳を間近に控え富山で再スタートを切る男には出店しない理由が全く無かった。

テスト走行な意味合いも含んでテントによる出店のつもりだったのだが、

後々になって実店舗が出来ても知名度を上げるため、

人が集まるところに出向いて行かない事にはと、

テント出店の意味合いが変化していくとは思いもよらなかった。

 

そして、今年7月から富山大学五福キャンパス構内にて、テント出店する日程が加わる事になった。

六渡達郎
太陽珈琲焙煎本舗

大学在学中より演劇の制作に携わり、一方では雑誌や広告の写真撮影を生業にすると共に、数々の舞台に関わる写真を撮影。

1999年写真展『小笠原生活様式』銀座コダックフォトサロン、2000年写真集『小笠原ターザン』を出版。
その後、2005年生活拠点を北京に移し、2007年「Caffè il Sole Beijing」開業。

中国人も驚く「神奇的杏仁豆腐」で巷では有名なお店となる。

北京在住の日本人中国人有志と共に2010年北京で自分の夢を追い求め奮闘する若者を描いた日本語喜劇『咖啡店的太太〜Catch the Beijing Dream』を企画演出し好評を博す。翌2011年再演。

その後も舞台演出、アフレコ、中国TVドラマ出演なども。2013年「Caffè il Sole Beijing」閉店。
日本スペシャルティコーヒー協会SCAJコーヒーマイスターの資格を取得。
2014年10月富山へ。2015年12月、コーヒー豆の焙煎加工を行う「太陽珈琲焙煎本舗」を開業。
2019年 タニノクロウ演出作品『ダークマスター2019TOYAMA』出演(主演ダークマスター役)富山オーバードホール

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