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PEOPLE

STAY SALTY ...... people here

遷す。

 

 

A little bit on the side of

all living things

幼稚園の時には、虎になりたいと思っていた。

大きくて優雅で強い、猫の王様のような虎に。

でも子供心にそれは無理かなと思ったので、

将来なりたいものを書く紙に、「とらどしになりたい」と書いた。

それだったらなれるかもしれないという希望を持って。

でも即座に先生に、「ムリ。絶対に成れないわよ」と言われて絶望した。

他の子は「パン屋さん、なれるといいね」「ピアノの先生、素敵ね」などと言われているのに、

私だけは「ムリ」と断言されたのだ。絶対に、と。

物心ついた時から、生き物に惹かれた。

生まれが吉祥寺だったので、

井の頭自然文化園には通ったと言っていいほど連れて行ってもらった。

はな子さんやビーバーのような哺乳類だけでなく、

オオサンショウウオやカメやカイツブリも大好きだった。

不思議で面白くて仕方なかった。

近所の犬や猫にももちろん寄って行き、

手を噛まれても次の日も撫でに行っていたそうだ。

 

だから、なぜ自分は人間側なのだろうと思っていた。

小学生の頃、二十歳までずっと私の面倒を見てくれていた師匠猫に、

どうして私は猫になれないんだろうと聞いていた。

そのうち本を読んで、将来なりたいものが動物行動学者や獣医になった。

でも高校3年生の時に、理系に進めばどの分野でも解剖や動物実験を免れないと気づいた。

どうして大好きな生き物をこの手で、

食べるため以外の目的のために殺せるだろうと思い、

それなら描くほうに行こうと思った。

Pesca Nekono

9.4 2020

printmaker   猫野ぺすか

少しでも生き物の側に

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それから30数年経って、

紆余曲折あったけれども、

今は動植物の絵を描くことが仕事のメインになっている。

とても幸運だと思う。

挿絵や装画、絵本の絵、展示販売する絵、もちろん人間を描くこともあるけれど、

基本は「動物を描かせてください、描きたい」と言っている。

方法は、木版画と消しゴムはんこと焼き絵。

焼き絵は4年前から始めたものだけれど、

動物の毛並みを表現するのにとても合っていて、気に入っている。

焼き絵の技法を使った絵本も2冊出た。

特に「おおかみとしちひきのこやぎ」(フレーベル館)では、

編集者さんは版画のイメージで依頼してこられたのに、

「どうしても子ヤギや狼の毛並みを焼き絵でやりたい」と言って展示を見に来てもらい、

納得していただいた。

そしてこの絵本で、

私の守護神のような存在である念願の狼を描くことができるようになった。

あまりに好きな動物は、理想が高すぎて描くことができない。

描こうとしても力量不足で、「狼はもっと力強くて大きくて美しくて…」と思ってしまうのだ。

 

猫も同じで、なかなか自分で納得いく猫を描くのは難しかった。

猫との付き合いはそれこそ四十数年にもなる。

自分と分かちがたい存在だ。

猫は本当に素晴らしい生き物で、

描いても「本当はもっと柔らかくてしなやかで温かくて美しくて…」と思ってしまうのだ。

猫をちゃんと描けるようになったのは、ごく最近、2年前だ。

きっかけは、子猫の兄弟が新たにうちにやってきたことと、

初めて壁画の仕事をいただいたこと。

8m×3.4mの大きさの作品を、木版と焼き絵のデータを組み合わせて作った。

なんでも好きなように描いてくれて良いというオーダーだったので、

私がずっと創り続けている「アイルリンド」という、

物言う獣や不思議な生き物、植物がある世界を描いた。

その中に、2匹の猫の肖像を描いた。

それは人間の子供と同じくらいの大きさで、

子供たちがその前で一緒に写真を撮っているのを見たとき、

ああ、やりたいことにまたひとつ近づけた、とうれしかった。

 

私がずっとやりたいと思っていること、

それは生き物の素晴らしさを人に伝えること。

ただそれだけなのだと思う。

自分が感じている、生き物の不思議さ面白さ、美しさ可愛さ、命の温かさ。

それを少しでも人間に伝えることができたなら。

どうして自分が人間なのか、彼らの側ではないのか。

それをずっと考えてきて、

いま人間である自分にある役割は、それなんじゃないかと思うようになった。

そして絵本という媒体に関わることで、

特に子供たちに、

まだ小さく柔らかいうちにこそ、

生き物の素晴らしさに触れて欲しいと思っている。

そして彼らのことを考える人間が少しでも増えてくれればと願っている。

 

今は世界の状況が厳しくて、動物よりも人間が大事だ!という人も少なくない。

でも、動物たちが生きやすい世界は、人にとっても優しい世界だと思うのだ。

小さな生き物に心痛める子は、きっと他の子供をいじめたりはしないだろう。

生き物を育てることで、自分が面倒を見なくては死んでしまうものがいることを知るだろう。

死を経験することで、悲しみや愛しさがわかるだろう。

生き物を知ることで、人間社会の外にある、豊かな大きな世界を知ることができるだろう。

 

そんなふうな願いを持ちながら、生き物の姿を描いていきたいと思っている。

text and photographs -  Pesca Nekono

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聖母子
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版画家

猫野ぺすか

Nekono Pesca

吉祥寺生まれ。版画と焼き絵で作品を制作。

挿絵や装画、絵本などを手がける。

個展、グループ展多数。消しゴムはんこワークショップも各地で開催。

絵本に「おおかみとしちひきのこやぎ」(フレーベル館)「いっしょ いっしょ」(福音館書店・こどものとも0.1.2.)「ちいさいきのいす」(鈴木出版・こどものくに)「カラスのスッカラ」(佼成出版社)「ぺんぎんちゃんのぼうし」(鈴木出版・こどものくに)「こひつじとことこ」(福音館・こどものとも)など。 

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絵本『おおかみとしちひきのこやぎ』

版画ではなく、初の全部が焼き絵技法の絵本となります。

狼が大好きなので、その毛並みを書きたいと思い、焼き絵にしました。

7匹の子ヤギが主人公のはずなのに、狼メインの本となってしまいました。

フレーベル館

引き出しのなかの名作・9

末吉暁子/文 猫野ぺすか/絵  

西本鶏介/監修 

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© 2020 by ALOHADESIGN

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