

DAYS
STAY SALTY ...... means column
Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて
~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
from New York / U.S.A.

Atsuko4Jazz
ジャズシンガー
ニューヨーク在住/出身地、長崎
2000年に本場のジャズを学びたくてニューヨークにやって来ました。
あっという間に子供が大人になるくらいの時間が経ちましたが、音楽が溢れているこの街、いつまでも飽きることはありません。
ジャズがあったからこそ、この街で生きてくることができたという感謝を込めて、
大好きな街ニューヨーク、そしてここに住む素敵なニューヨーカー達のお話をお届けできればなと思っています。

11.10.2026
DAYS / Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて ~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
Abbott Dash 5Kのレースで転んじゃった話

スタートを待つランナー達
「あつこさん、ニューヨークマラソン前日の5Kのレース走りませんか?」と同僚から言われて、びっくり。え!最近全然サボって走っていない私なのに、あと1週間で走れる?!
かなり迷いながら、月曜日に一回久々に試しに5キロ走ってみて決めようか。とはいえ実際に走ってみるとタイムも遅いし、きっつーい!さらに翌日ものすごい筋肉痛になって体ががたがたになって、どうしよう?と思ったけど、えい!と走ることに。
ちなみにもう1回だけ本番までに5キロ走る練習をしたけど、やっぱりきつ~い!大丈夫か私?
木曜日の夜にコンベンションセンターへ、ビブ(ゼッケン)を取りに行き、マラソン関係のグッズやサンプルのブースなどを眺めながら、ふっとPain Relieving Gelというブースに目が留まり、サンプルを2ついただく。なぜだかわからない。普段はシップとか痛み止めの軟膏なんて嫌いなのにね。それ以外のブースはそれほど惹かれるものはなく素通りでそのまま帰宅。
10/31(土)に行われるAbbott Dash to the Ninish Line 5Kというレース、以前はニューヨークマラソン前日のインターナショナルフレンドシップランという名前だったけど、数年前に正式に公式レースに昇格したみたい。
土曜日の朝、国連前からスタートしセントラルパークへの5キロのコース、普段は車が通っているところ、ここを走るのは何気に贅沢。2年前に初めて走った時もホント走り切れるかなとドキドキしたもの。
スタートする前に国連前にある、日本の旗を探しに行く。あ、今日はここなんですね!日の丸さん、おはようございます!

国連と日の丸
ちなみにこのレースは翌日フルマラソンを走る人達にとっては、余興のようなもの。仮装したり、マンハッタンを走りながらみんなで記念写真を撮ったり、余裕たっぷり、さまざまに楽しまれるのが常。
そんな中、私はひとり真剣で内心緊張(笑)
事前にタイムを申請しているので、私はKというウェイブで真ん中より後ろの遅い方。
8:45AMスタートということだったけど、一向にスタートする感じがなく、9:00AMから列が進み始めて、さあ、スタート!

スタート
朝、走るってやっぱり気持ちいいねと思いながら、普段ミッドタウンの目抜き通り42丁目を西へ向かう。快調に走っていたつもりだったんだけど、いきなり2番街の元ファイザービルの前で、なんとすってんころりん転んでしまう。
自分でも何が起こったかわからなくって、大丈夫か!と声をかけられ、あっ、あ、大丈夫と言ってるうちに、両肘を後ろからのランナーの方々に抱えられ、ふわっと起こされて、あ、ありがとう、でも恥ずかしい!
膝はいたいけど気を取り直して走りなおす。

気を取り直して!
この時点で「前回よりタイムが遅くなったらどうしよう」とか、「走り切れなかったらどうしよう」、みたいなどうでもいい邪念が吹っ飛んだ。
私、今、走れることがうれしい!
沿道を見回すと、たかが5キロのレースなのに、朝っぱらから沿道で応援してくれる人がいるなんて感動じゃない?
いつも車であふれているこの通りを自分の足で走ることができるなんて贅沢じゃない?
運動嫌いの私がコロナですべてが止まった時、暇すぎてちょっとずつ始めたおかげで、1週間前にオファーをいただいても、今普通にこうして走れてるなんて、すごくない?
ありがたさもこみ上げてきて、目の前の見える世界が、輝きに満ちた現実に変わったのです。

5番街の公立図書館

42丁目を6番街を曲がる。

遠くにセントラルパーク
もうすぐだ!
セントラルパークに入ると、何気に遠回りなコースでアップダウンもありきつい。

紅葉がきれいね
フィニッシュラインは翌日のニューヨークマラソンと同じ場所。
マラソン42キロ走る人にとっても、最後のこの緩やかな坂はたまらないだろうな。
とか思いながら、今回は余裕で自分でゴールへの道をビデオにとりながらフィニッシュ!

ゴール!
いやあ、よく頑張りました、私!今日は自画自賛、自分を褒めちゃう。
レギンスの膝をそろーりめくるとやっぱり両膝すりむいているし、ものすごいあざになっている。でもウェアが破れなかったし、血がだらだらと出なかったからラッキー。
家に帰ってシャワーを浴びようとしたら、なんと左肩も擦りむいていた。ほんと顔を怪我しなくてよかった!やっぱり何気に守られてるね!
ちなみにその日の夜は大江千里さんのコンサートに行ったはいいけど、転倒時に左手でかばったみたいで、手のひらが青く腫れあがって痛くって拍手ができないありさま
そんな中、ふと、コンベンションセンターでもらった、Pain Relieving Gelを思い出す。
無意識にもらっていたこれを使ってみる?緑色のすーっとするジェルで、気持ちがよくて、そしてそのおかげでみるみる回復。
目に見えない何かが私の無意識に「いいからもらっとけ!」と教えてくれたのかな?
おかげ様で翌日、膝がまだ痛いながらも、ニューヨークマラソンのランナー達を応援に出かけることができたのでした。
~今回の転んでもただでは起きない私の学び~
①直感に従ったらびっくり現象が起きた。
前日に何気にもらった痛み止めサンプル、まさかすぐすぐ使うとは!
普段はシップや痛み止めをほぼ使わない私なのにね。
②アクシデントのおかげで自分が予想しないところへ到達した。
一見、転ぶというアクシデントではあったけど、そのおかげで、私の中の、「タイムは?」とかな?」「完走できるかな?」というような余計な思考が外れて、レース自体を楽しむことができた。
そして後からニューヨークロードランナーズのウェブサイトで自分の記録を確認したら、なんと転んだのにも関わらず、練習の時よりもずっといいタイムで走り切っていたの。すごくない?
これって、人生にも当てはまるかもね。
すってんころりん恥ずかしく転んじゃったけど、気を取り直して、余計な思考をはずすと、自分の思ったところ以上の世界へ到達できる。
③突然、頼もしい男性に窮地を救われることって本当にあるのね。
プリンセスじゃないし、もう若くもないのに、優しくて頼もしい殿方、しかもお二人に両腕をふわっと抱えられて、助けていただくなんて普段ありえなくない?
もっとその瞬間を楽しめばよかった!
(実際には恥ずかしくって、大丈夫、ありがとうというだけで精一杯。顔も見れないし、それどころじゃなかった私。)
9.10.2026
DAYS / Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて ~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
小曽根真さんのThe Trioを見にBirdlandへ

ジャズピアニスト小曽根真さんのトリオが 5日間演奏するということで、ニューヨークのBirdlandというジャズクラブへ!
バードランドは44丁目の8番街と9番街の間、タイムズスクエアのシアター街にある、老舗のジャズクラブ。私的にはとっても行きやすい便利な場所にあってうれしい。
今回は今年の4月に突然亡くなられた、ベーシストの北川潔さんへのトリビュート。後で小曽根さんがおっしゃるには、このバードランドの仕事が決まった時、今回はベースは潔とやろうかな?と内心思っていたら、翌日奥様から急に逝かれたと連絡が入ったとのこと。
ライブレコーディングをなさっていて、来年11月の日本ツアーにあわせて発表されるのかな?

The Trioの最初のアルバムのCDジャケット
北川さんは小曽根さんの初代トリオのベーシスト。小曽根さんのトリオを卒業した後もピアノの巨匠ケニーバロンさんなどと演奏なさっていたり、ニューヨーク在住の日本人ミュージシャンの先駆けの方だった。今回はそのころのトリオ時代の曲をフューチャリングした選曲でとても懐かしい。私はバーカウンターで見ていたこともあり、前にお客様がいないので、今まで思ったことも、やったこともなかったけど、そうだ周りに迷惑がかからない程度にちょっと一緒に歌ってみようか。

私の席からみるステージ
30年前にフロリダからカリブを周るジャズクルーズに小曽根さんは ゲイリーバートンさんのグループで参加していたときに、ジミーヒースさんのバンドにいた北川さんとお互い半信半疑、日本人ですか?という感じで出会い、北川さんは大阪、小曽根さんは神戸と同じエリア出身ということで意気投合。
そしてジャズクルーズのプロモーターの方が、「今度はMakoto、自分のトリオでこのクルーズに参加しないか?」という話になり、「もちろん、喜んで!ベースプレイヤーは今ここで見つかったから!」と。
北川さんにさてドラムを誰にしようか相談したら、小曽根さんにぴったりのドラマーがいると、クラレンスペンさんを紹介されたそう。翌年のジャズクルーズで一緒に演奏したとたん、自分の音楽をこんなに理解してくれるドラマーに出逢えたという喜びで、もうそれ以来の中ということ。
ドラムのクラレンスさんは今回、MCでも大活躍。

ドラマーもしゃべります
ジャズクルーズ内ではリハーサルもお客さんが自由に出入りして演奏を聞くことができるので、 長いキメが多い曲を初めて一緒に演奏するときは緊張したけど、
最初から皆さんが今日、今聞いてもらっているのと同じような演奏で、この男と一生演奏したいと思ったということ。
クラレンスさんのドラムはエレガントで、繊細、まるでダンスを踊っているかのよう。演奏後、次々とお客様が異口同音、「あなたみたいなドラマーは見たことがない!」と話しかけていて、うんうん、その通り!
ベースの中村さんは彼らより一回り以上若いミュージシャンで、今、ニューヨークで一番忙しい人気のベーシスト。

迫力の演奏
中村さんは小曽根さんと同じボストンのバークリー音楽院出身で、小曽根さんの音楽を聞いて育ったということ。自分の音楽を聞いて育ったと聞くとうれしい反面、自分が年を取ったと思っちゃうと笑いながらも、中村さんの絶妙なソロを聞きながら、小曽根さんはうれしそうににこにこしている。
小曽根さんのトリオのベーシストは北川さんの後、現在ハービーハンコックさんと演奏しているジェームスジナスさんに変わり、3代目が中村さん。
クラレンスさんは中村さんと初めてレコーディングに参加した時に彼の音を聞いた途端、一体このベーシストは何者?と彼のブースを覗き込んだそう。
そしてクラレンスさんが小曽根さんに紹介したいベーシストがいるいうことで、一緒に演奏することになったそう。
自分が若い時から憧れていたミュージシャンにバンドのメンバーとして推薦してもらえるなんて、中村さんもうれしかっただろうね。
ノーシエスタという曲で、さびから中村さんがメロディーを取って入ってきたとき、その音の美しさにしびれた!

ステージ正面の席から見てみる
北川さんのトリビュートのギグということなので、しんみりなるのかな?と思っていたけれど、 小曽根さんもクラレンスさんも北川さんとの楽しい思い出を生き生きと話されていた。みんなに自分たちを結び付けた素晴らしいKiyoshi Kitagawaというベーシストがいたんだよ、今も心の中に生きているよと。永遠の親友と一緒にはしゃぐ姿が目に浮かぶようだった。
私も亡くなった親友のこと、ショックで自分の中ではあまり消化できていないけれど、今度日本に帰ったとき仲間同士で、彼女との楽しかった思い出を語ろうか…。
天に帰られた人達は、私たちが悲しみに暮れ涙するよりも、あの時は楽しかったねと時々思い出してくれる方が、喜ぶかもしれない。
今回、私の新たな試みとして演奏と一緒にメロディーを歌っていたので、小曽根さんは本当に美しい曲を書く方だなと再認識。私がアメリカに渡る前後に発表されたアルバムの中からの曲だったので懐かしくもあり、若い時に聞いていたので、自分の中で自然と覚えていたのかな?
そしてニューヨークでジャズをずっと歌い続けていたので、もしかすると一緒に歌えるようになったのかも…。
世界のトップミュージシャンの高い振動数に触れた幸せな日々で、最後は私も完全燃焼。

ブラボー!
今回は5日間の内、初日と中日、最終日と3日間、私はバーカウンターの一番よくステージが見える席を毎回確保。カバーチャージはバーは$40+手数料。バーはステージに対してパーシャルビューだけど、テーブル席より少しお安い。そして次のセットの予約が一杯でなければ、カバーチャージを払うことなしにもう1回分ミニマムを支払うだけで残っていいよ、ということになったりする。バーでは1セット毎に飲食ミニマム$20というお店のポリシーだけど、やさしいバーテンダーの方だと、飲物だけのチャージにしてくださることもありラッキー。そういう時は、ありがとう!という気持ちでミニマムに見合ったチップを置くように心がけている。
ニューヨークにいるからこそ、こんなすごい演奏を3日間も聞きに行くことができて、やっぱりこの街はいい音楽を気軽に聞けて素晴らしい!



















