

DAYS
STAY SALTY ...... means column
Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて
~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
from New York / U.S.A.

Atsuko4Jazz
ジャズシンガー
ニューヨーク在住/出身地、長崎
2000年に本場のジャズを学びたくてニューヨークにやって来ました。
あっという間に子供が大人になるくらいの時間が経ちましたが、音楽が溢れているこの街、いつまでも飽きることはありません。
ジャズがあったからこそ、この街で生きてくることができたという感謝を込めて、
大好きな街ニューヨーク、そしてここに住む素敵なニューヨーカー達のお話をお届けできればなと思っています。














4.12.2025
DAYS / Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて ~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
きっとニューヨークピザが恋しくなるでしょう

いつか私がこの街を離れたら、何を強烈に恋しくなるだろう?とふと思う。
やっぱり食べ物だとニューヨークピザかな?
ニューヨークにはスライスと呼ばれて、大きなピザを一切れずつカットして売っているお店がたくさんあり、小腹がすいた時の定番。イタリア系移民の方々がたくさん移住してきたことと、この街のお水が、ドゥととても相性がよくて、独特のクリスピーなピザとなり、すっかり名物になったんですって。
いつも夜、タイムズスクエア駅に向かう時に、普通に1ブロック半の長蛇の列ができているJoe's Pizza。なんでこんなに並んでいるんだろう?とずーっと謎に思っていたの。

ジョーズピザの外観
ちょっと覗いてみたら、ふむふむスパイダーマンがアルバイトしていたという設定のお店なんですって。だからアメリカ国内だけでなく、世界中からの観光客に人気なのね。

ホントだ、スパイダーマンだって
さすがにこの長蛇の列には並ぶパッションはないわと思っていたら、たまたま先週、ワークショップとジャムセッションに行く間に、ちょっとおなかがすいていたので、そうだウェストビレッジのお店へ行って見よう!
そんなに混んでなくてラッキー!トッピングが乗っていないトマトソースとチーズだけのスライスをオーダー。

ジョーズピザのスライス
うん、おいしいよ。でも普通に感じる。
これはきっと私が長いニューヨーク生活で甘やかされ、このレベルのニューヨークスタイルのピザのおいしさが普通になって、ハードルが上がっているんだろうね。
お友達がブルックリンで有名なピザ屋さんがマンハッタンにもできたから行こうと、Roberta'sというレストランへ。1Fでスライスも買えるけど、今日は2Fのレストランへ。

ロベルタスの1Fのピザ窯かわいい
店内は活気があり、人々の話し声でものすごくうるさくってびっくり!
ちなみにイタリアではピザと一緒に飲むのはワインではなくビールということ。
IPAの生ビールおいしい!
意外とイタリアって食べ物の決まり事、意外と多いみたい。
海のものと山のものと一緒にクックしないとか、シーフードのパスタにはチーズをかけないとか、ちゃんとフォークとナイフを使って食べるとか。
ニューヨークではナイフやフォークを使わず、レストランでも普通に手で食べます!
で、手で持った時、油がしたたり落ちないのがいいピザなんですって。
さて何にしようか?うーん、サラダも食べたくない?シーザーサラダっぽいサラダってどれ?とお店の人に聞いてリトルジェムサラダをオーダー。
リトルジェムとは小さいレタスを使ったシーザーサラダのことなんだって。

リトルジェムサラダ
うーんシェダーしたペコリーノチーズがなんとも美しい!
クルトンもチーズをかけたブレッドをカリカリに焼いている手作り感でおいしい。
ソースもアンチョビが入っていてクリーミーでおいしい!
シーザーサラダって、メキシコのティファナにあるレストランのイタリア系移民のシェフが考案したメニューなんだって。いつか本場のシーザーサラダ食べに行ってみたいけど、トランプ政権になって、いくら合法で滞在していても、そうそうメキシコとの国境に興味本位では行けないよねと、たわいもないお話。
ピザはマルガリータにトッピングに生ハムを乗せてみる。

マルガリータピザのプロシュートトッピング
トマトソースもフレッシュで、モッツアレラチーズも激うま、そして生ハムがとろける!大正解!
おいしい、おいしいとおいしいフォトンを、周りに放ちながら、ゆっくりおしゃべりしながら食事していたら、気づけば、両隣のテーブルの人たちはとっとと食事を終えて、他の人に変っている。
マジソンスクエアガーデンの隣なので、何かコンサートスポーツ観戦の前にサクッと食事する人達が多いのかな?
こういう本当においしいピザを食べると、普通のスライスを何回か我慢しても、本格的ニアポリタン(ナポリ風)のピザ食べたいよね、と思いつつ、ついつい近所のピザ屋でスライスを買ってしまう私。これもこれでクリスピーでおいしいからリピートしちゃうんだよね。
お友達も、日本に一時帰国してから帰ってくると、やっぱりピザた食べたくなっちゃうんだって。
いつかおばあさんになった私は、ああ、クリスピーなニューヨークピザ、また食べたいなーって思うだろうなあと思いながら、普通に食べれるしあわせを感じながら、今を楽しむことにします!
ロベルタズ ペンディストリクト
https://www.robertaspizza.com/
PS. マッシュルームをトリュフオイルでソテーした、こういう白いピザも大好きなんだよねー。

マッシュルームトリュフピザ
2.8.2025
DAYS / Atsuko4Jazz Column
ミューズを追いかけて ~あるジャズシンガーのニューヨーク通信
音楽は国境と時空を超える ~ピアニスト、ブルース・リウ@カーネギーホールin NY

ニューヨークはすっかりマイナスの気温が続き、極寒期はついつい家の中にこもりがち。
さらにおでこを怪我して目の周りが内出血でひどい顔なもんだから、1月は家から一歩も出ない日々が続き、これはよろしくないともう外出する楽しみをつくるしかない!
2021年の第18回ショパンコンクールで優勝した、ブルース・リウさんの演奏を聞きにカーネギーホールへ。
ブルースさんはパリ生まれのチャイニーズカナディアン。本名はシャオユー・リウさんで、シャオユーは発音が難しいから、ブルースリーが好きだし似てるとよく言われるので、ファーストネームにブルースって付け足したんですって!
カーネギーホールの大ホールは2800席というとても大きなホールで、上は5階くらいまであり、一番上からはミュージシャンは豆粒にしかみえないけど、チケットは一番安いもので$25くらいから、今回は1階は多分$200は超えていたのではないかしら?
私はぎりぎりまで自分のお顔と相談しつつ、お安い席でいいわと3階のパーシャルビューの席を$35+手数料$10にて購入。
当日カーネギーホールへ向かったら、ひーソールドアウトって貼ってある!

危なかった!3日前にチケット買ってよかった!
どれどれ何の曲を演奏するのかしら?と、プログラムを開くと、チャイコフスキーの組曲「四季」と、セルゲイ・プロコフィエフのピアノソナタ第七番ですって。両方とも、ロシアの作曲家たちの作品。クラシックに疎い私には、まったく知らない曲たち。
この席はパーシャルビューとはいえ、今回ピアノだけの演奏会なので、上からピアノを弾いている手を見れて面白い。大正解!

私の席からこんな感じ
チャイコフスキーの組曲「四季」は1月から12月までの短編の組曲。
私のお気に入りは11月のトロイカという曲。民謡のようなノスタルジックなメロディーが素敵で、帰り道口ずさみながら帰ったほど。
さすがチャイコフスキー、キャッチ―なメロディーを作るのが得意よね。
プロコフィエフのピアノソナタは、最初からぎょっ凄い!壮絶テクを要する曲で、とてもエネルギッシュで超難解。パリからモスクワに戻って第2次世界大戦の時期に書かれたので「戦争ソナタ」と呼ばれる代表作品の一つなんですって。
さっきのチャイコフスキーの牧歌的な組曲と比べると、いやあまさに戦争や体制の変化などに対する激しい怒りを表現したような曲で、彼のような若い男性ピアニストが演奏するのにぴったりね。
この対極的なプログラムのチョイスは、ロシアとウクライナとの戦争が長引いている現状はとてもやるせない。本来のロシアにはのどかで美しい田園風景が広がり、こんなに素晴らしい作曲家たちが紡いだ音楽があり、それは今でも色褪せず、こんなに素晴らしいんだ!というメッセージなのかな?
見事に3楽章まで素晴らしく弾き終わると、うわっとみんなが一斉に立ち上がり、
スタンディングオベーション。アンコールの拍手が鳴りやまない。
そしてアンコールにはなんと、ショパンの幻想即興曲を弾いて下さって、ああうれしい!
アンコール4曲目にはMaple Leaf Ragというラグタイムの曲を演奏。こんなジャズっぽい曲も弾くのねと、びっくり。
拍手がなりやまず、何回もお辞儀しては、舞台袖に戻る。
それでも拍手がなりやまないので、さすがにまた出て来てお辞儀。

ブルースさんうれしそう
いつまでも拍手がなりやまないので、最後にはピアノの鍵盤のふたをことりと閉めて、もうおしまい!という感じで終了。
もう2時間以上経過していたので、さすがにそうだよねとわーっと笑いがたちこめて、素晴らしい夜はほっこりしたムードで締めくくられたのでした。
昨年の冬のニューヨークフィルとの共演の時のアンコールでは、ショパンの子犬のワルツを演奏して下さって、こんな人が弾く子犬のワルツなんてめったに聞けない!と、とってもうれしくてスタンディングオベーション。周りを見回したら、なんと立ちあがったのは私だけ。(前の方の席だったので結構恥ずかしかった!)
子供でも弾ける曲だからか?クラシック好きのオーディエンス厳しいね~と思ったんだけど、今回のカーネギーはオーディエンスがとってもあたたかく、全曲ワーッと盛り上がって、すばらしかったなあ。やはり彼はチャイニーズ系だから、チャイニーズ系の若者も多かったしね。
すっかりまた超一流のコンサートに行きたい熱に火がついて、2月の2つの大きなコンサートのチケットを購入するのにどの席にするか検討中。いい席で見るのももちろんいいけど、安い席でもたくさんいい音楽を聞きに行くというのもやっぱりいいなあ。
ニューヨークはジャンルを問わず世界トップの音楽に接する機会がたくさんあり、しかも意外と安くで楽しむことができるので、本当に音楽好きにはたまらない楽しい街、最高!
ブルース・リウ チャイコフスキー組曲「四季」11月トロイカ