DAYS

高見 麗子
Designer / Writer

STAY SALTY ...... means column

千葉県出身のフリーランスグラフィックデザイナー。
様々な地域の食材を使い、一緒に楽しくその土地の文化を知るための活動「きまぐれ食堂」を主催。
都内で定期的にランチを提供しています。

きまぐれ食堂

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

 12.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

アジトをもって、レジスタンス活動する

「自分にはまだアジトのような帰れる場所がないから」と思って始めた小さなアジトつくり。
長野県飯島町のりんご農家さんの家から出会いは始まり、少しずつ地域のことを知っていきました。
わたしがそこへ向かう時、声をかける人は「一緒に同じ景色をみてほしい人だけ」と決めています。
そして、お気に入りのものだけ持って出かけて行く。
「好きなもの」「好きな人」だけで満たされるように農家さんのお家へ。
わたしの「小さなアジト」は、わたしの中で少しずつ愛着のある場所に育っています。

そもそも、わたしは人に会ったとき、「この人は本当にこの仕事が好きなんだろうか」とか、そういう他人や作品の中に「愛があるか」をかなり敏感に察知する傾向があります。
「この人は地位や名誉のために人を利用する人か」とわかると、仮面をかぶってちゃんと距離をとったり。
なぜなら、わたしは愛のないものに接していると、本当に自分の中の何かが削られてしまう感覚があるからです。

「愛のある、自分が帰っていける場所を持つ」

フリーランスになった2019年から、わたし自身かなりの労力を傾けてやってきた活動は、わたしが始めた大切なレジスタンス活動でした。

わたしが始めた小さな「反抗」は、「自分が関わる範囲の場所は、いずれちゃんと、みんなが帰って来れる場所にしたい」という夢につながっていきます。
だから、多少損になることがあったとしても、ちゃんと「場」を育てるため、具体的な計画をいくつか考えています。

お金の大切さ、利益の大切さ、有名になることの大切さは知っているけれど、わたしの中の強固な反抗心が「それだけじゃないでしょ、生きるってことはさ!」と随分長いこと暴れていました。
あらゆる面において「自分さえよければいい」という人よりも、目の奥に暖かさがある人をちゃんと誠実に、自分なりに応援してきちんと仕事にしていきたいな。

 
 

 11.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

贅沢ってこういうことかも

いつのまにか夏が終わって、さっと幕をひくみたいに秋がやってきました。

今年はほとんど外出しなかったからなおのこと、そう感じます。

とはいえ、東京の1Kの自宅に数ヶ月こもっていられるような性格でもないから、平日に茅ヶ崎に住む友達の家へ遠出することが密かな楽しみでした。

新宿から茅ヶ崎への移動なので、ささやかなものだったけれど、それでもいい息抜きになっていました。

 

昨年の今頃は、長野県飯島町のりんご農家さんと11月に出荷する「ふじ」の摘果(てっか)作業を手伝っていました。

作業が終わればおいしいごはんを食べて鈴虫の声を聞きながら眠り、障子から漏れる朝日で目が覚める1泊2日の旅。

仕事で乱れた体のリズムがリセットされて頭がすっきり。

片道4時間かけて行ってもおつりがくる満足感でした。

今年も当たり前のように行くはずだったのに。

電話越しに、まるで娘のように気遣ってくれる那須野さんと野菜のことから近況まで電話で30分ほどおしゃべりする。

今行けないからこそ、あれはとても贅沢な時間だったんだと感じながら電話を切った。

 

思えば、社会の期待や役割を背負って、自分なりに成長して成果を収めていく世界で、わたしはちょっと疲れていたところがありました。

だから、社会に対してちゃんと帰れるように、自分のための「内」の世界をもとうと作ったのが月1回だけ浅草橋のゲストハウスでやっている「きまぐれ食堂」であり、その先に出会ったのが長野県飯島町の「那須野さんご夫婦」でした。

わたしにとっての「内」の世界は、どんなに小さくても構わなかった。

はじめて自分の部屋を与えられた子供のように、知恵をしぼってリフォームして自分が仕立てる、宝物のような小さなアジト。

 

たとえば、試合で思うように結果がでないときに走りこみするとか、そういう基本をちゃんとやっていく体制を整えていくためには、自分をリセットできる場所だって必要です。

ちょっとだけ体調が崩れるかもしれないし、毎日が真剣勝負になって体力を使うけど、無理をしないで「そこに帰っていく楽しさ」を得ることってとんでもなく贅沢なんじゃないかと思うんです。

9.4.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

素一致

りんご農家さんと初めて会った日、夕食後にりんごをいただき、一口食べると甘くてとてもおいしかった。

 

彼はりんごの話になると愛情たっぷりにこだわりの育て方を熱く語ってくれます。
「摘果(てっか)と葉摘み(はつみ)する時は、りんごの木に相談しながらするもんなの」

「りんごの木の声を聞いて育ててやれば、自然とおいしくなんの」

 

農協が提示する栽培ルールは、おいしいりんごをつくるためではなく、効率的にりんごを栽培、収穫して収入につなげるためのもの。
それを一切無視して独自の感覚でおいしくなるよう育てるため、彼はローカルの中でも変わり者。
同業者には白い目で見られるけれど、本人は全くそんなこと気にしない。

結果的に彼のりんごはおいしく育ち、彼の周りにはその人柄に惹かれて地域の人から移住者まで幅広い年齢層の人が集まる。

 

飯島町に通う理由は、どんな人でも受け入れてくれる開かれた環境があることが大きい。

地域を知るためには、彼のような良いおじさんに出会うことが大切です。

と、こんなことを書いていてふと、長野に通う前、長い付き合いの友人に言われた言葉を思い出した。

彼女は10年以上、心に障害を抱えるこどもたちの教師をしていた人で、 どんな流れでそう言われたか正確には忘れてしまったけれど、「無意識に上からの物言いにならないように気をつけようね」と言われたことがある。

わたしが地域のために何かしたいと話していた時かもしれない。
「地域ではずっと昔からちゃんと経済は回っていて、今困っているわけじゃないよね。困っているはずだから助けてあげようっていう考え方は相手にとって失礼だと思う」

人との丁寧な関係性を大切にする彼女らしいアドバイスだった。
これを聞いてからは、何か始める前にこの言葉を自分に問うようにしています。

 

2人は職業も年齢も性別も違うけれど、お金で繋がる関係性を嫌い、 対面での丁寧な関係性を大切にする姿勢は繋がるものがあると感じます。
世の中「お金」がすべてに見えるけど、ほんとうはそうじゃないってこと。

そこだけは価値観として譲れないところだし、共感できる人が増えるといいなと思う。

 

8.2.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

ファンについて

 

長野県飯島町は新宿から高速バスで片道4時間の距離にあり、四方を囲むように南アルプスと中央アルプスがきれいで移住者に密かに人気のエリアです。
2019年に友人と訪れてこの場所を知り、コロナ騒動前は月1度週末に訪れるお気に入りの場所。
今は移動制限もあって自由に行けないけれど、都内で月1回地域の食材を使ったランチを提供する「きまぐれ食堂」の活動を通してその地域と継続的に関わっています。

半ば勢いで始めたため具体的な地域とのかかわり方がわからなかったので、様々な方法を知るために島根県主催のしまコトアカデミーに参加しました。
先進的な地域作りで知られている島根県をフィールドワークしながら地域を学び、実際に現地を訪ねて自分と地域のかかわり方を見つける講座です。
そこで知ったのが、ソーシャル&エコマガジン「ソトコト」の編集長である指出一正さんが提唱する「関係人口」という考え方でした。

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域に関わってくれる人口のこと。
週末だけお気に入りの地域で過ごしたり、特産物を買ったり、頻繁ではなくても何らかのかたちで特定の地域を応援してくれるような人のことを指します。

毎回泊めていただくリンゴ農家さんのご夫婦は、老若男女問わず毎日違う人が入れ替わりでお家にやってくる地域の「関係案内所」のような役割をもった人たち。
このお2人を中心にさまざまなご縁がかさなって、昨年はお米農家さんを都内にお呼びして新米を食べるイベントを開催。
私の好きな農家さんに直接こだわりなどお話しいただく場を周囲の人も巻き込んでつくることができたのは良い経験でした。

新型コロナウィルス騒動をきっかけに、自宅にこもって作業する時間が増え、緊急事態宣言から「日常生活のオンライン化」が加速し、「人に会う機会」が圧倒的に減ってきています。
「人と直接つながらなくても生きていける時代」になることは良くも悪くも時代の流れなのかもしれません。


リモートワークが促進され、これから本気で「地方移住」を考える若い人たちが増えていくなら、まずは「関係人口」として地域にお気に入りの場所を見つけることからゆっくりはじめていくのもいいかもしれません。
わたしのように出身地ではないけれど、その土地や文化が好きな人を「ファン」と呼ぶなら、ファンからはじめる地域とのつながりについて、もしかしたら「第2の実家」を求めているような感覚だってあるかもしれない。
家族のように気楽に話せる人たちと、自分らしくいられる場所を全国につくることができたら、不安だ不安だって言われている老後だってわくわくする。

7.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

呼吸

じぶんの居心地が良いと感じた場所へ、無意識に何度も足を運んでしまう。
つまり、その居心地の良さを、心地よいと安心して信じられる。
これ、じぶんの実家とかが当てはまるけど、例えば自然がある地域はどこでもあてはまるかと言うと、意外にそう思える場所は少ないと感じています。

長野県の飯島町は、新宿駅から高速バスで4時間の距離にあり、ご縁があって2年前から月1度、週末に訪れています。
現地でお世話になっている地元のりんご農家のご夫婦は、山に入って急な斜面を慣れた様子で突き進む力強さと、面倒見の良いおおらかな性格の持ち主で人望が厚く、老若男女に頼りにされている大黒柱のような存在です。

そういう環境で何も特別なことを考えたりせずに思い煩うことなく過ごす1泊2日は、わたしをのびのびとさせてくれました。
そして、「これが本来のわたしなんだ」と確認していく。
都心の人混みに混ぜられていた感覚が、ほどけていくように週末を過ごせるこの土地の良さを東京で伝えるにはどうしたらいいんだろうかと、今はまだ空いた時間にふわふわと考えています。

できることから始めてみようと、この土地にある文化を食を通して知ってもらう目的で「きまぐれ食堂」という1日限定のお店を都内で始めました。 
様々な地域の食材を使い、一緒に楽しくその土地の文化を知るためのお店です。
その活動を通して、その土地に暮らす中で大切にしている価値を再確認し、まずはその土地の人たちにとって、何か楽しいことが始まりそうな期待感のある「良いたまり場」づくりを目指そうと思っています。

仕事だから通うのではなく、居心地が良いからこそ通いたくなる場所で、大きく息を吸って、風向きを変えて待てないくらい面白い明日を眺めるために。

 
Do not hesitate to contact me to discuss a possible project or learn more about my work.

© 2020 by ALOHADESIGN

Proudly created by Tsutomu Kinoshita

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editor in cheaf and
art director and designer
:
Tsutomu Kinoshita
director
:
Ayumi Ogo
Mikiko Shirakura
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