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DAYS

STAY SALTY ...... means column

Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

from  Tokyo / Japan

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高見 麗子
Designer / Writer

千葉県出身のフリーランスグラフィックデザイナー。
様々な地域の食材を使い、一緒に楽しくその土地の文化を知るための活動「きまぐれ食堂」を主催。
都内で定期的にランチを提供しています。

きまぐれ食堂
りんごの木の寿命

7.1.2024

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

りんごの木の寿命

​

りんごのピンクの小花があちらこちらで満開な4月末日。

いつもお世話になっているりんご農家さんで、

偶然古いりんごの木を伐採する瞬間に立ち会いました。

 

この時期はちょうど、りんごの花摘み(摘花)のタイミング。

花摘み(摘花)とは、1本の木、1本の枝に適正な実を付けさせるために

花や蕾を摘み取って間引く作業のことを言い、りんご作りで味を決める大事な作業です。

お母さん手作りのおいしい昼食後しばらくしてから「摘花してくるわ」と言って

敷地内に停めている軽トラに乗って那須野さんはりんご畑へ。

少し遅れてわたしは徒歩で畑へ向かいました。

 

わたしが着いたときには摘花作業は終わり

那須野さんが木の幹が太く樹齢の長そうなりんごの木の前で

チェーンソーのエンジンをかけようとするところでした。

お花が咲いているのに切っちゃうの?とわたしが聞くと、

「もうこの木においしいりんごはつかないよ。ずっと見てきたから花を見たらわかる」と

那須野さんはチェーンソーを持つ手に集中しているからか、こちらを見ずに返事をしました。

 

「この木はお母さん(妻)の両親からりんご畑を引き継ぐ前からあって、50歳近いからね。

たくさん働いてもらったから、切っちゃうの」

ヴヴヴーンッ

けたたましい音で起動したチェーンソーを持って脚立にのぼり、

りんごの木の細い枝から軽快に切り落としていきました。

 

りんごの木はおよそ30~40年が収穫の寿命と言われ、

人間と同じく人生のステージがあります。

 

苗木期(1~2年)

幼木期(3~4年)

若木期(5~10年)

樹形完成期(11~15年)

成木期(16~30年)

老木期(30年以上)

 

一般的に樹木の寿命は60年ぐらいあるそうですが、

50年たつとりんごの収穫は難しくなるといわれています。

おいしいりんごを収穫するサイクルがうまくまわるように

まだ元気な木であっても植え替えをするそうです。

とはいえ、長年我が子のようにお世話をしたりんごの木は

なかなか簡単にきれないんじゃ、、と思ったけれど

チェーンソーを使って躊躇なくバッサバッサと切り倒す那須野さん。

感傷に浸っているヒマはないみたいでした。

 

切った木材をどうするのかと聞くと、

「薪ストーブに使いたい人がいるから、太いところはその人にあげちゃう。

細いのはうちのお風呂用」と、まさかの薪風呂だったことが発覚。

長く通っても知らないことばかりで、ほんとうに楽しい。

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できない自分よ、こんにちは。

4.15.2024

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

できない自分よ、こんにちは。

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地方創生のイベントで、雑誌「ソトコト」編集長の指出さんが興味深いことを語っていた。

言葉は正確ではないかもしれないけれど、

「良いコミュニティとは、入り口の扉が半開きになっています。

参加者がいつでも出入り自由であることが良いコミュニティの特徴」とお話していた。

 

「きまぐれ食堂」という活動も同じように

ひらかれた場所であることを意識している。

常連の友人がこんなことを言っていた。

「大人になると定期的に友達と会うことが減るから、すごく楽しい。

たかみーの人柄で集まる人もゆるくて居心地がいいよね。

完璧じゃなくても成立するんだってある意味勇気をもらってる」

と笑って話してくれたことがある。

 

どうしても、人からお金をいただいて食事を出すということは、

「食事が金額に対して満足できるか」「料理は完璧でなければいけない」

「お待たせしてはいけない」ひいては、うまくいかなかったことに罪悪感を持って

しまうこともあるかもしれません。

以前はすごく悩みながら出していたけれど

できないこと、わからないことを受け入れて、

今年はもう少し、肩の力を抜いて食事が作っていけたらいいなと思う。

 

居心地のいい場所とは、気持ちがもっとのんびりした状態のことを言うのでは。

ちゃんとできない自分はだめよと思うような、堅苦しさはいらない。

生活は本来、誰かに見せびらかすものでも、評価されるものでもないのだから。

空気を読むことが大事なこの国では、周りを気にしないというのは、実はけっこう難しい。

だからこそ、宣言のつもりでこうしてコラムに書いてみた。

楽しい気持ちを大切に、毎年ちょっとずつ変化していきたい。

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りんご15kgぺろりと食べた80歳のご婦人のこと

2.10.2024

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

りんご15kgぺろりと食べた80歳のご婦人のこと

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長野のりんご収穫をいまかいまかと待っていた2023年11月。

例年、知り合い限定でりんごの代理注文を受けていた中で

過去最大量のりんご注文をして下さった方がいました。

 

その方は、私が通った大学の先生のお母様で

年齢は80歳くらい、八王子に息子さんと2人暮らしされていました。

先生の話によると、季節のフルーツが特に大好きだけど

美味しくないものは一口も食べようとしない「美食家」。

11月上旬にSNSを経由して友人限定でりんご注文の募集をした際に、

ちょうどお母様がりんごをよく食べていたこともあって、

「悪くなってもいけないし、食べきれそうな3kg箱を注文したい」とご注文いただきました。

「母が食べるから」とご実家に送ったところ、なんとお母様1人で1週間もたたず完食。

想像以上の消費スピードに娘である先生もびっくりで

「母がすごく気にいったみたい!追加注文できるかな?!」と、

5kg、10kgと何度も追加注文の末に、なんと合計18kg!

お母様が気に入って毎日2~3個ペースで食べてくれたようで、

農家さんも何度も同じ人が注文するものだから「え!追加?!」と驚いて笑っていました。

 

長野の農家さんに通い始めたきっかけは、素敵な人の役に立ちたいと思ったからでした。

今回、FAXか電話注文受付のみ対応している農家さんのりんごを

SNSを通じて直接顔を合わせた人だけだけど、確実にりんごを届けられたことで

農家さんも受け取った人も十分に喜んでもらえるんだ、と

人に喜んでもらうことの原点に立ち返りました。

 

美食家のお母様においしいりんごを知ってもらえたことも大収穫。

今後もりんごを育てた農家さんの、「顔の見える範囲の人に届けたい」という思いを

小さくても丁寧に繋いでいけるために、今年は長野に通ってりんごの様子を伝えていきたい。

​

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旬の時期が短い山菜をいただく

4.10.2023

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

旬の時期が短い山菜をいただく

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なんだか東京は初夏のような陽気の日が続いたこともあり
例年より2週間ほど早くGW前には山菜が収穫の時期を迎えると
農家さんからお聞きして4月末に急遽長野へ行く予定を立てました。

​

私も季節になると山に取りに行ったり
収穫したものを送ってもらうので
春はとれたての山菜をいただく機会が増える嬉しい季節です。

​

山菜は春の訪れを感じる季節の味覚として知られていますが
一気に出てきてすぐに成長するタケノコのように
食べる時期を過ぎるとすぐに固くなってしまいます。

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長野県の山菜は山に自生しているものが多く、
旬の時期になると地元の人たちが山に出かけて採取することが一般的。

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代表的な山菜にわらび・たらの芽・ふきのとうなどがあります。
わらびは山菜の中でも特に高級なものとして知られ
とろみがあってシャキッとした食感が特徴です。
また、たらの芽は春先に山肌に芽吹くたらの木の新芽を摘み取って収穫します。

​

私はりんご農家さんが手打ちしてくれたお蕎麦に乗せる天ぷらが一番好きです。
たらの芽は天ぷらにすると苦味が消え甘みが増すので
山菜の苦味が気になる方もおいしくいただけます。
ふきのとうは春先に山林に自生するキク科の植物の芽で
少し苦味があるので、塩や砂糖を加えて下味をつけて食卓に並ぶことが多いです。

​

長野県の山菜は、季節限定の味覚であり地元の人々にとっても大切な食材です。
春の訪れを感じるこの季節にぜひ山菜を味わってみてくださいね。

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旬を手軽に美味しく。あったか汁物たべながら慌ただしい師走に気づくこと。

12.15.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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旬を手軽に美味しく。
あったか汁物たべながら慌ただしい師走に気づくこと。

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白い湯気が立ち上る、大鍋にたっぷり入った熱々の汁物。

何度も息を吹きかけて舌を焼きながら食べた長野の鍋料理を食べた思い出は、

それだけで体と心をポカポカ温めてくれます。

長野のお母さんが作ってくれた素朴なおいしさ、

毎日食べても飽きない、大好きなあの味をいただくと

「ああ、冬がきたな」と季節の巡りを感じます。

 

この時期は宴会や集まりが多い。

そして、知り合いのつながりで呼ばれる忘年会がある。

普段あまり会えない人と会うために年末のスケジュールを空けていく。

そんな具合で、いつも師走は慌ただしくすぎていった。

 

しかし、最近はコロナもあって忘年会もめっきり少なくなった。

人が嫌いになったわけではないのだけど、そうなって初めて気づいたのは、

人生の残り時間に限りがあって、明日終わるかもしれないから、

食事を一緒にする時間をもっと大事に考えようということ。

疲れきるなら、無理はしない。

参加するかしないかで変わる関係なら、少し距離を置いてみる。

 

長野ですき焼き鍋を突きながら思う。

わたしより歳を重ねている先輩の話は何事もシンプルだ。

歳をとるほどに透き通っていくような、

そんな生き方はわたしの目指すゴールでもある。

そこに向けて少しずつ整えていきたい。

難しいけれど、まずは持ち物や新年のスケジュールを

見直すところからはじめてみようかな。

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人と一緒に過ごす時間にみつけた「自分」の感覚。

11.7.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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人と一緒に過ごす時間にみつけた「自分」の感覚。

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3年振りに長野県飯島町のりんご農家さんのお家へ遊びに行くことになりました。

特別な予定はないものの、ふと頭に浮かんだのはずっと会えていなかった人たちの顔。

SNSで連絡はとれるから、また今度、また今度…といって会えないまま、

でもずーっと気になっていた人たち。

せっかく長野に行くのならと、気になるあの人たちに会いに行くことに。

 

ビールがカラダに染み渡る午後6時。

JR飯島駅のロータリから大通りに入ってすぐのところにある居酒屋さんへ。

畳張りのお座敷席で、すでに懐かしい人たちが「久しぶりじゃん!元気?」と

満面の笑みで迎えてくれました。

会えなかった時間を取り戻すように、近況報告会をして気づいたら3時間が経っていました。

お互いの仕事の話、最近の農業の話、旅行の話、年末年始の里帰りの話。

最後はゆり農家を営むご夫婦のお子さんに「家に遊びにおいでよ」と言われて嬉しくなり、

ハイタッチして別れました。

みんなと別れた後、じわじわと膨らむ嬉しい気持ち。

話した時間はそれほど長くはなかったけど、良い暮らしをしている人たちの話しをするだけで

こんなに気持ちを晴れやかになるものなんだなと改めて感じた1日でした。

 

人と話す時間を満喫することで、自分の好きなものや感覚を再確認。

そして、ひとしきりいろんな会話をした後に、「ぼーっ」とする。

そのわずかなひとときが、気持ちの切り替えになる。

気が付いたからといって、何かが変わるわけではないけれど、

ただおいしいごはんを食べて、ゆっくりと深呼吸できる場所で

もっと「ぼーっ」とした時間に浸りたい。

新しいものが入る「心の隙間」をつくるために。

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山国は豊かだ

10.7.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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山国は豊かだ

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秋になると「旬の食材のきのこが〜」なんて、
きのこを紹介する広告を見かけるたびに
「(人工栽培だから)年中ありますけども」とツッコミを入れたくなる秋の味覚「きのこ」。
ほとんどのきのこに共通して言えるのは、
低カロリーで食物繊維やビタミンDが豊富ということ。
加えて、理想的な食事とも言われる「まごわやさしい」食(豆・ごま・わかめ<海藻>・野菜・魚・しいたけ<きのこ>・いもを使う食事)にも入ったスーパーフードでもあります。

​

その中でもいわゆる「天然物」と言われる山で採れるきのこが、
今年は猛暑の影響で森のきのこ菌が高温で弱り、ずいぶん生育が遅れたようでした。
天然物は見つかる保証がないけれど、見つかったときの喜びもあって
思うようにいかないところも含めて直前までいろんな意味でドキドキ。
そういったところも、スーパーで当たり前のように食材が買える状況とは全く違う。
結果的に、台風による雨で山が潤いきのこ菌が活発に活動を始めたことで、
立派なサイズのものを送っていただき、ホッと一安心。


だけど、本当に旬を迎える、この季節しか採れない山きのこは、
山国でしか出回らないんだなあと、飯島町から食材を送ってもらってわかった。
9月に届いたきのこの名前は「ショウゴンジ」。
歯切れや口当たりがよく、収穫量が多いので長野県含め全国広い地域でよく食べられているそう。
でも、スーパーでこんなカタチのきのこを見たことがない。
「大きさ」がオバケ級でまず驚いた。
人工栽培しめじの4倍くらいの大きさのショウゴンジ。
これを飯島町のお母さんが甘く食べやすいように煮つけた状態にしてくれていた。

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「これは炊き立てのご飯に混ぜ合わてね」
「これは焼きシャケのホイル焼に入れてね」

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長野のお母さんかお父さんのどちらかの手書きメモ入りの贈り物を見ていると心がほっこりする。
娘でもないのに、こんなに良くしていただける関係に一番感謝したい。

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秋は食材がおいしい季節であり、わたしにとって「ほんもの」と出会える貴重な季節。
「ほんものの食材たち」を知るたびに、長野の自然をゆっくりと知っていく過程があるから
きまぐれ食堂はやめられない。

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約束のない時間

9.5.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

約束のない時間

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長野の夏はカラッとした暑さで、冷房がないお家も多いことをご存知でしょうか。

冬の寒さ対策には「掘りごたつ」や「豆炭(まめたん)」を使ってしのぐのに、

夏はかろうじて扇風機がちっとも涼しくない風を、

そよそよと運んで気持ちよく汗をかいていた。

 

日中は頻繁にフルーツと冷たいお茶で水分補給を繰り返し、

お腹が空く前に夕食の時間がやってくる。

日が落ちれば外に出て夕涼みもできるし、

都会と違って高温多湿で寝苦しさを感じることもなく

穏やかな1日がゆっくりと過ぎていく。

 

夏に遊びに行ったとき、度々名古屋から遊びに来る3人のお孫さんたちと会うことがあった。

実家に帰省する本当の家族と、血の繋がっていない東京在中のよその者が

一緒に遊び、食事の準備を手伝い、食卓を囲んでご飯を食べる光景は、ちょっと面白い。

私など、実家に帰っているかのような気分にさえ錯覚していた。

小学校に上がる前のお孫さんたちにパワーをもらう夏は

いくら暑くても、いつだって楽しみだった。

 

言葉には出せなかったけれど、長野に頻繁に通っていた頃は

外部からの刺激にひどく疲れていたような気がする。

気力が減退することはあったけれど、その時はあまり意識していなくて

自力で何かに気づくまで、遠くから自分自身を見守る日々が続いていた。

普段は予定がぎっしりだったりするけれど、約束のない、名前のない時間が欲しいと

夏がくるたびに長野で過ごした時間が懐かしい。

 

なんの予定も入れずに、広い空、山並み、美味しいご飯、暑い夏に汗をかける日が

もうすぐそこまできていると思いながら、

秋になれば、山から吹き下ろす冷えた空気とともに、

真っ赤なりんごが甘く実って食べごろになる季節を今年も楽しみに待っている。

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上手にできなくても、せめて丁寧に

7.11.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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上手にできなくても、せめて丁寧に

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6月末にきまぐれ食堂にきてくださった方から、おもしろいお話をいただいた。

気がつくとこの場所でほぼ毎月ランチを出すようになって3年目。

この活動に対するはじめてのインタビュー依頼だった。

 

2019年からコロナ渦でお休みをはさみながら、この日で26回めを迎えたきまぐれ食堂。

実はLittle Japanの代表である柚木さんが「レンタルキッチン」という

シェアキッチンサービスを構想している時から、参加させてもらっている。

このサービスを利用しているメンバー中で、いつのまにやら古株になってしまった。

 

柚木さんとの出会いは、友達に連れられて参加した地域活性のイベントだった。

この日はじめてLittle Japanに訪れたわたしは、会場の雰囲気がとても気に入ってしまった。

通りに面した大きな窓から光が入るカウンターキッチン、最大で20名ほどの席数。

カウンターキッチンから、食事をしている人に話かけやすいレイアウトもわたし好みだった。

その頃、ちょうど千葉の実家近くで今の活動の原点でもある食のイベントを何回か終えて

東京の会場を探していたこともあり、イベント終了後に柚木さんにキッチンを借りたいと相談。

とんとん拍子にお借りするお約束をして、きまぐれ食堂をはじめることになった。

 

それから2年。わたしのつくるごはんを楽しみにしてくれる友人に支えられて、

思いつきで始めたわたしの活動に興味を持ってくれる人も少しだけ増えてきた。

今のわたしがインタビューを通して何を言うのか自分でも未知数だけど、

とても貴重な機会をいただけたことに、会場を快く貸してくださった柚木さんや

いつも楽しみに来てくれる友人たちに感謝したい。

「食」でつながるゆるやかな出会いを大切に、今また次のきまぐれ食堂のメニューを考えている。

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お昼ごはんの心意気

5.5.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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お昼ごはんの心意気

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土曜日が好きです。

それも、長野から採れたての野菜が届いた日なら最高で、

翌日にきまぐれ食堂で食べてもらうことを思うと

ワクワクしてついつい夜更かししてしまう。

 

先日、山菜が食べたいなと農家さんに事前にご相談し、

コシアブラとタラの芽を送ってもらった。

新鮮だからこそ爽やかな青葉の香りは春らしく、

季節に合わせて色とりどりの野菜たちが

月に1度だけメニューとしてお皿の上に並ぶ。

母が作ってくれたレシピや、そうでないものも含めて

届いた野菜が美味しくなるように丁寧に作る。

 

決して手際が良いとは言えない料理の腕前を恥ずかしく思いながらも、

美味しそうに食べてくれている人を見ることが素直に嬉しい。

苦手なことも数をこなせばある程度はできるようになるもので、

今なら新しいチャレンジができるかもしれないと思うようになった。

 

野菜の美味しさだけに頼っていてはいけないと前々から思っていたので、

今月から少し薬膳を意識したメニューにしている。

まだまだ努力が必要ではあるけれど、

どんな流行にも不況にも負けない、ただひたすらに美味しくて

体に優しいお昼ごはんを作りつづけたいと思う。

見せないところにたっぷりとこだわりを詰め込んで。

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4月の東京で

4.5.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

4月の東京で

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4月の東京は新しい人たちに満ちている。

進学や就職や転勤のため上京してきた人で、駅も道も膨れ上がっている。

ホームで人とぶつかりそうになったり、いつもより音量の上がった車内アナウンスを聞いたりすると、

エネルギッシュな季節がまたやってきたなと、こちらまで新しい気持ちになる。

 

4年前、わたしもあんな風に緊張気味に、

新宿から高速バスに乗って道路標識や地名や山並みを見ながら長野に向かっていた。

「地方に関わる仕事をしたい」と思い目的地を探していて、

友人に紹介してらってやっとたどり着いた長野だった。

そこで私は目を丸くした。とにかくどこに行ってもたくさんの食事を出してくれるのだ。

食卓にはいつもできたての手料理が並んでいて朝昼晩ずっと満腹状態。

そして、たまたま居合わせた現地の人たちと食事を囲み、

たわいのない会話から笑顔が増えて穏やかな表情になる。

とにかく常識やものを知らないというキャラクターづけだった私さえも、

この土地の人は受け入れてくれる不思議な場所だった。

 

東京と、ご縁でつながった長野と。呼吸の深さが違うように感じるのは、

6年住んでも無意識のうちに東京ではどこか緊張しているのかもしれないと思う。

長野にいると、呼吸がゆっくり深くなる。

高速バスで東京に戻るみちすがら、窓ガラスに映ったなんとものんびりと、

たるみきった自分の顔を見てハッとすることも。

第二の故郷の空気は、いつ行っても私に甘いのである。

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まるで“仕送り”のような詰め合わせを

2.5.2022

DAYS / Reiko Takami Column

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わたしの向こう見ずな挑戦

まるで“仕送り”のような詰め合わせを

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“仕送り”の習慣がない家に生まれたこともあり、

そういったものを受け取ることに密かに憧れていた。

とはいえ、名前もわからぬ人に急に「仕送りを送ってください」なんて言えるはずもなく、

“仕送り”が受け取れる日が来るなんて夢にも思わなかった。

 

その日は長野のりんご農家さんからの“仕送り”が届く日で、

国内さえも旅を気軽にできなくなって久しいせいか、

不意にそんな贈り物が日常の瞬間に差し込まれて心がぽっと明るくなった。

箱を開けるとその土地ならではの野菜や果物や体に良いものを、

毎回1人分とは思えぬくらい入れてくれるから

「今回は何が入っているかな」と開ける瞬間がたまらなく楽しい。

月1度ひらいている食堂のメニューのために食材をお願いしているから、

正確には“仕送り”ではないのかもしれない。

でも大人になると自分のことを思い、

愛情込めて育てた旬の野菜を追加で詰めてくれたり、

そうやって選んで詰めてくれた時間があったと思うだけで嬉しい。

仕送りって「思いあい」なんだなと思う。

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そんな仕送りのように、その箱いっぱいに詰まったあったかい気持ちを料理にして、

お客さんの口元がつい緩んでしまうような空間を提供したい。

そんな思いを込めて都内で月に1度ランチを作っています。

2022年もふたつめの月が始まりました。もうすぐ立春。

もうしばらく、自由に動きまわるようになるまで我慢。

それまでは、電話越しの声に元気をもらいながらゆったりと食堂をつづけます。

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あの人のりんごなら、とプレゼントを選ぶように毎年届く美味しいりんご

12.5.2021

DAYS / Reiko Takami Column

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あの人のりんごなら、とプレゼントを選ぶように
毎年届く美味しいりんご

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長野ではりんごの収穫がピークを迎えている。

今年のりんごの出来栄えは?そう農家さんに聞くと「最高に美味い」とのこと。

日帰り旅行の際はまだ収穫するには早くておいしさを味わうことはできなかったけれど、

「これから寒さをしのぐために、りんごが糖分を蓄えて収穫までどんどん甘くなる」

この話を聞いて、美味しいりんごが届く日がさらに楽しみになった。

 

昨年は何度も直撃した台風によって収穫量が落ち込んでしまったと聞いていた分、

今年は雨風で傷つくこともなく収穫されてほっとした。

そして、先週とれたてのりんごを8kg東京に送ってもらい、

甘くて大きい「美味しいりんご」を毎年たのしみにしている友達とシェアした。

「毎年食べるのが楽しみ!」と言われ、嬉しそうに鞄にしまう友達の様子に嬉しくなった。

同じりんごでもスーパーに並ぶりんごと知り合いの農家さんから直送されたりんごでは、

やはり届き方や嬉しさの深度、目に止まるあれこれが全く違うのだなと当たり前のことを知る。

 

りんごは繊細なフルーツで、手をぬけばおいしさは半減してしまう。

実際、すぐ隣の農園で同じようにりんごを栽培している別の農家さんのりんごの木は

収穫前に葉が全て病気で落ちてしまい、枝ばかりのかわいそうな姿になっていた。

その結果、農家さん曰く葉から栄養が生成されず、りんごはこれ以上甘くならないらしい。

 

運命を決めたのは「雨が降るとりんごは病気になりやすい」ことを知っているかどうか。

雨予報が出るたびに対策していたら、お金も時間もかかる上に面倒なのでする人は少ない。

そんな中、美味しいりんごを作ることに人一倍丁寧に向き合い、

病気でりんごの葉が落ちてしまわないように、雨が降る前対策をしておく。

その結果、周囲からは町で一番美味しいりんごと語られ、

いかにりんご農家さんの仕事ぶりが丁寧か、

だから家を訪ねる人が遠方からも絶えないんだねと思っている。

 

私は毎月友達に会うので、その度にお土産としてりんごを渡す。

スーパーのりんごのように気軽に買えないけれど、

気持ちが丸ごと形として残ったりんごは相手にとても喜ばれる。

そういう食材を選ぶことに対して、

“躊躇”から“楽しみ”に変えてくれるりんごは、

力強いコミュニケーションの道具だなと思う。

 

お取り寄せ野菜や果物はハードルが高くて注文に勇気がいるなあと思っているあなたに。

美味しいりんごのご紹介でした。

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夕暮れが美しくなる季節に

11.5.2021

DAYS / Reiko Takami Column

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夕暮れが美しくなる季節に

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夢中でパソコンに向かっていて、ふと窓の外に目をやったら、

部屋からわずかに見える空がピンク色の夕暮れどきの空でした。

 

買い物に行くことをふと思い出して、

明るいうちに出かけようと外に出て深呼吸。と、ちょっと背伸び。

様々なことに取り組んで、向き合い方の塩梅やバランスを考えたりする中で、

不確実なことに毎日臨んでいると、

わたしにとって空を見上げるという行為は

確実に季節の空が気持ちを癒してくれる

確実性の高いものなんだなとふと思いました。

 

10月上旬に日帰りで行った長野の空も

なんとも風情のある夕暮れどきの空が印象的でした。

前日まで雨続きで空気がいつもより澄んでいて

あと1時間後には東京に帰るときに

奇跡みたいな空が広がっていました。

なんだか、身体の中の澱んだ何かを吸い取ってもらえたような

気持ちになりました。

 

確実に気持ちを元気づけてくれたり癒してくれる「変わらない風景」。

思うように出かけられないからこそ

行った時には緊張をほどいてゆっくりと過ごしたくなります。

 

長野のお母さんの美味しいごはんと

あの空にまたすぐに会いに行けますように。

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頭で考えるより自然を感じて“ととのえる”

10.5.2021

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頭で考えるより自然を感じて“ととのえる”

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長野のりんご農家さんと久しぶりにやり取りしたメールに、こう書かれていた。

「今朝の新聞に見頃を迎えた千畳敷カールの紅葉が載っているよ」

 

9月の終わり頃。紅葉の様子は最高の見頃を迎えたようで、

「運がよければ、松茸のフルコースもあるかもね!」

と心くすぐられるお誘いをいただいた。

今年は松茸が豊作のようで、すでに初物が出回っている。

3年前は「松茸のすき焼き」をお家でいただいて美味しかったけれど、

今年はどうやって食べるのかと想像すると今から楽しみでたまらない。

 

そういえば以前、農家さんに「紅葉を見に山に登らないの?」と聞いたことがある。

普段から山菜やきのこを山に採りに行っているのだから、私は当然のように登山が好きなのだと思っていたら、どうやら違うらしい。

「山に登るだけなんて楽しくない。山は食べ物を採りに行くところだから」

食べ物を探しに山に入ったら1日中歩き回っても疲れないのに、

登山になると足がすごく重くなるらしい。実際、山中にある養命酒のお土産屋さんの駐車場にある小さな坂を10mほど登っている時に、「はあ、疲れた」なんて山の急斜面を平気で歩く人が弱音を吐いていた。

 

農家さんは、自然の大きな流れに身を任せて日々を過ごしている。

紅葉も松茸も1年のうちに訪れる日常の1つに過ぎないことを羨ましく思った。

私もいつか自然の中でゆったり暮らすことが夢だけど、今はまだ東京で頑張りたいから。

自分を時々リセットするために、長野に行っているのかもしれない。

そう思いながら、縁もなかった長野が前より好きになっていく。

松茸もあると良いな、なんてドキドキしながら早朝に新宿を出発する高速バスを予約した。

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おいしいごはんを作るには

7.2.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

おいしいごはんを作るには

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気づいたら、きまぐれ食堂をはじめて3年目になっていた。

コロナウィルスの影響もありお休みしていた時期もあったけれど、

途中で飽きることもなく続いている。

収穫される作物によって注文する農家さんを変えることはあっても、

野菜への愛情が深い方々なので多分この先もお願いする相手を変えることはないように思う。

 

ところで、食堂のメニューの考え方は始めたときからガラリと変わった。

わたしが食べたいメニューを長野の野菜で作って誰かと一緒に食べることが前提だったけれど、

料理に対する考え方が変わったことが一番大きいと思う。

 

以前は肉や魚などをメインに、長野から送られた野菜は副菜として考えていた。

今は、野菜の味をちゃんと感じられるシンプルなメニューを探してしまう。

春先は山菜、ほうれん草、水菜などの葉物野菜、生食できるとうもろこしやりんごなど、

できるだけ茹でたり蒸したりして、味噌とかちょっとつけてそのまま食べるような、

野菜の味に頼ったメニューを考えている。お肉を使わないヘルシーなメニューも増えてきた。

 

そして、今挑戦しているのはメニューを自分で考えないこと。

野菜の収穫状況を月に1度電話で確認するとき、一番おいしい食べ方を農家さんに聞いている。

農家さんが普段どうやって食べているのか知りたいし、電話のやりとりで話したことも含めて、

食べに来てくれた人に伝えたいからだ。

 

6月のメニューは「りんご屋のカレーライス」。

カレーのルーを溶かすとき、水ではなくりんご農家さんのりんごジュースを使ったら、

おいしいと噂になってしょっちゅう近所の人が食べにきていて、カレー屋になっちゃいそう、とか。

なんて話を聞いたら、「よし、今月はカレーだ」と決める感じ。

 

自炊も含め下手でもなんでもほぼ毎日作り続けているうちに、

それほど技術がなくても、あるいはたくさん味付けをしなくても、

素材がおいしければまあまあおいしくできると気づく。

あれこれ難しいことを考えなくても、料理っていうのは味のしっかりした野菜があれば、

和洋中なんでもちゃんとした味になる。そう気づくのに3年かかったような気がする。

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夜明けのコシアブラ

6.2.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

夜明けのコシアブラ

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「コシアブラごはんってのは、食べたことあるっけ?」

 

電話越しにりんご農家の那須野さんが「9割の人がおいしいと言うメニュー」を提案してくれた。

「コシアブラ」はタラの芽やウドと同じ山菜の1種。

成長した木は15mから20m以上になり、長野ではゴールデンウィーク頃が収穫時期。

てんぷらにするとおいしい山菜だ。


5月下旬になると葉を収穫して塩でゆがき、細かく刻んで炊きたての白米に混ぜると葉の香りが際立ちすごくおいしいらしい。
今月のきまぐれ食堂は山菜づくしにしたいです、と淡竹(はちく)のたけのこも一緒に送ってもらうことにした。

 

刻々と空が白む夜明けに家を出て、一昨年は自分の体験にない急な山道をひーひー言いながら下って山菜を採りに行った。
70歳の那須野さんの動きに全くついていけず、そんなわたしを呆れ顔で見ていたことが懐かしい。
わたしは足元が不安定ながらも、山菜を見つけようと必死に木々を見上げていた。

木々や空を見上げたときの、なんとも言えない力強さと圧倒されるような景色を見ていたはずなのに、
最近は切り取られた空しか見上げていないし植物に目を留めることも忘れていた気がする。
木々を見上げることは公園や神社の境内に行けば東京だっていくらでもできるだろう。
でも柔らかい木陰の中で育つ「コシアブラ」は繊細で、きっとここでは生きられない。
わたしはゆたかなところで過ごさせてもらっていたんだと、改めて気づかされた。

また行けると当たり前に思っていた日常は、失って初めてその大切さに気づきやすい。
全く縁のなかった長野に対して寂しさを感じながら、
日々の移り変わりや少しずつ変わっていく様子を、東京に住む友達ともう少しゆっくり感じていたい。

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忙しい日々にも、自分なりにリラックスできたなら。

5.2.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

忙しい日々にも、自分なりにリラックスできたなら。

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リラックスするために、自然に触れたい。

そう思っていても、なかなか実現できないことも。

 

去年から続くコロナ渦の影響による移動自粛であったり、

自粛による経済的な不安で旅行気分になれなかったり。

「旅をする」までのハードルが意外とたくさんあったからです。

 

そんな時にうれしいのは、長野県中川村から送られてくる「アスパラ便」。

 

朝晩の寒暖差によって適度なストレスをかけることで甘みが増し、旬を迎え青々としたアスパラたち。

国産で珍しく太さ1㎝をこえる立派なアスパラは、食卓のメインになる農家さん自慢の1品。

筋がなくて実はやわらかく、茹でるだけでジューシー!みずみずしい食感が楽しめます。

口に入れた瞬間にアスパラの優しい香りがふわっと広がります。

 

海外産のアスパラと違い、前日に収穫したものをすぐ発送してくれるのですごく新鮮。

しかも、太く大きく育つまでゆっくり丁寧に手をかけて育てているから色艶が良いんです。

一度食べるとリピーターになってしまうアスパラで、友人限定で購入希望者を募集すると

リピーターが半数以上の人気ぶり。

毎年アスパラを楽しみにしてくれている人が少しずつ増えると、わたしも嬉しくなります。

 

春を届けてくれる長野のアスパラは、わたしの生活から手放せない存在に。

旅のハードルが高い今だからこそ、作物を通して感じる農家さんの丁寧な人柄や南アルプスの山脈が連なる風景に思いを寄せながら、もっと長野を知っていきたい。

また自由で気軽に旅ができるそのときまで、

食卓を囲むわたしたちの顔をほんのり明るいトーンにしてくれる「ほっ」とできるものを、

友達と共有しながら日々の生活の中で取り入れていきたいと思います。

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日常に旬を

4.1.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

日常に旬を

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寒くてお家で冬眠していたいと思っていた冬から、だんだんと暖かい気候で迎える春。

日が差して暖まった部屋で、わたしはゆったり起きて3ヶ月ぶりの「きまぐれ食堂」に向かう準備をしたり、何かと忙しい朝時間はバタバタしがち。

でも長野から届いた春野菜をみんなに食べてもらえると思うと、なんだか自然と気分が上向いてきます。

 

長野の野菜を頼むようになってから、食べ物の「旬」を意識するようになりました。

旬の野菜は栄養価も高くて美味しい反面、タイミングを逃すと欲しいものがなかったりします。

さらに気候次第で収穫時期がずれることもしばしば。

こだわりの旬野菜は、スーパーの便利さに慣れていたときには、ハードルが高くてなんとなく手が出せませんでした。

今は自然に寄り添い丁寧に育てた野菜の美味しさや味の違いを知ったので、友達に声をかけて一緒に購入することも。

きまぐれ食堂で野菜を購入した友人から「家で昨日からサラダやおひたしにしてバリバリ食べてるよ!」なんて嬉しい声もいただきました。

美味しいものを共有することで、食を通して長野を少しずつ知ってもらえていると実感しています。

 

春は芽吹きの季節です。

野菜も芽の食材が旬を迎えています。

じゃがいもや玉ねぎなどの扱いやすい野菜と一緒に、春なら菜花やタケノコなんかも買い物カゴへ。

東京に住んでいると忘れがちな旬の野菜。

その時期に体に必要な栄養やエネルギーをたっぷり補充してくれるので、きまぐれ食堂のメニューも今後はより意識していきたいと思います。

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Days Top
りんごのチカラ

3.1.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

りんごのチカラ

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コロナの影響で移動が制限され、長野に遊びに行くことも難しくて

美味しいものを食べたい気持ちはつのるばかり。

特に、長野でお世話になっていたりんご農家さんが大切に育て熟成させた

真っ赤なりんごやりんご100%ジュースが恋しくてたまらない。

我慢できなくて、実は自粛期間中に何度か注文していました。

なんとなく体がだるかったり不調を感じたとき、

風邪予防になりそうなくらい超濃厚なりんごジュース。

真っ赤に熟成したりんごの甘さとシャキシャキした食感はデザートに最高でした。

はじめは自分の分だけを注文していたのですが、

「あのりんごを食べたい友だちが1人くらいはいるのかも?」と思い、

昨年末にSNSを使って募集をしてみました。

すると、投稿したその日のうちにきまぐれ食堂の常連さんを中心に10人以上が購入。

中には1ℓジュースを12本購入してくれた強者もいました。

購入してくれた友だちから「すごく美味しい!」「母が気に入ったからまた注文したい!」と

感想を送ってくれたことが嬉しくて、年明けにもう一度募集をして各家庭にお届けしました。

わたしを通して新鮮な食材を食べたいと購入してくれる人が、

身近にこれだけいると知れたことはコロナ渦での嬉しい出来事でした。

「顔が見える」よりもうちょっと近い関係で、おいしく食べたり使うライフスタイルってアリかも?

友だち同士の「生産」と「消費」の先にあるハッピーな未来を少し見た気がしました。

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車窓から見た景色と、見る景色

 2.1.2021

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

車窓から見た景色と、見る景色

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30歳が合宿免許に参加できるギリギリの年齢と知って、

20代前半の若い子たちに囲まれ、

懐かしい学校の空気を感じながら取得した運転免許証も、

お財布で半分顔を隠してしばらく出番がなさそうです。

運転していたときは、きょろきょろと街の人の動きをよくみていました。

「あのカーブあぶなかった」とか「鳥肌がたった」ことまでよく覚えています。

初めて人を乗せて運転したとき、周りを「見る」意識が変わった気がします。

自分が運転することで見えた景色は、

後部座席の車窓から見えないし感じないものばかりでした。

 

わたしは地方へ移動する手段として高速バスを利用します。

選ぶ理由は金銭的な理由だけではないのかもしれないと思うことがあった。

知らない人が隣で寝ていたり、

パーキングエリアで一定時間とまって外に出て休憩したり、

予定通りの時刻に到着しないアクシデントがあると想像力や感覚が働きはじめる。

お土産を網棚にのせている人を見て「実家に帰るの久しぶりなのかな、地方に実家あるのいいな」とか。

気持ち良さそうに寝息をたてている人がいても寝れるかどうか挑戦する時もある。

そうしたところで得になることはないけれど、意味もなく想像や挑戦をする時間がこの上なく好きだ。

 

子供のころ、ファンタジー小説を夢にでるほど読み込んで

その世界を自分の想像でさらに膨らませて遊んでいたことが影響しているのかもしれない。

想像だけなら免許がなくても車を運転するし、空を飛ぶこともできる。

その物語を自分なりにもっと楽しむために工夫する時間が、本筋よりも楽しめたりする。

わたしにとっての旅は、移動からもう始まっていて、目的地に到着するまでにどれだけ楽しめるかも重要。

もちろん向かう目的があって移動しているけれど、目的地に向かうまで脇目もふらずなんてもったいない。

目的地に向かう途中で起こる過程も含めて楽しみたいと考える人が

これからもっと増えてくるようになるんじゃないかな?

なんてことを考えていました。

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アジトをもって、レジスタンス活動する

 12.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

アジトをもって、レジスタンス活動する

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「自分にはまだアジトのような帰れる場所がないから」と思って始めた小さなアジトつくり。
長野県飯島町のりんご農家さんの家から出会いは始まり、少しずつ地域のことを知っていきました。
わたしがそこへ向かう時、声をかける人は「一緒に同じ景色をみてほしい人だけ」と決めています。
そして、お気に入りのものだけ持って出かけて行く。
「好きなもの」「好きな人」だけで満たされるように農家さんのお家へ。
わたしの「小さなアジト」は、わたしの中で少しずつ愛着のある場所に育っています。

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そもそも、わたしは人に会ったとき、「この人は本当にこの仕事が好きなんだろうか」とか、そういう他人や作品の中に「愛があるか」をかなり敏感に察知する傾向があります。
「この人は地位や名誉のために人を利用する人か」とわかると、仮面をかぶってちゃんと距離をとったり。
なぜなら、わたしは愛のないものに接していると、本当に自分の中の何かが削られてしまう感覚があるからです。

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「愛のある、自分が帰っていける場所を持つ」

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フリーランスになった2019年から、わたし自身かなりの労力を傾けてやってきた活動は、わたしが始めた大切なレジスタンス活動でした。

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わたしが始めた小さな「反抗」は、「自分が関わる範囲の場所は、いずれちゃんと、みんなが帰って来れる場所にしたい」という夢につながっていきます。
だから、多少損になることがあったとしても、ちゃんと「場」を育てるため、具体的な計画をいくつか考えています。

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お金の大切さ、利益の大切さ、有名になることの大切さは知っているけれど、わたしの中の強固な反抗心が「それだけじゃないでしょ、生きるってことはさ!」と随分長いこと暴れていました。
あらゆる面において「自分さえよければいい」という人よりも、目の奥に暖かさがある人をちゃんと誠実に、自分なりに応援してきちんと仕事にしていきたいな。

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贅沢ってこういうことかも

 11.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

贅沢ってこういうことかも

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いつのまにか夏が終わって、さっと幕をひくみたいに秋がやってきました。

今年はほとんど外出しなかったからなおのこと、そう感じます。

とはいえ、東京の1Kの自宅に数ヶ月こもっていられるような性格でもないから、平日に茅ヶ崎に住む友達の家へ遠出することが密かな楽しみでした。

新宿から茅ヶ崎への移動なので、ささやかなものだったけれど、それでもいい息抜きになっていました。

 

昨年の今頃は、長野県飯島町のりんご農家さんと11月に出荷する「ふじ」の摘果(てっか)作業を手伝っていました。

作業が終わればおいしいごはんを食べて鈴虫の声を聞きながら眠り、障子から漏れる朝日で目が覚める1泊2日の旅。

仕事で乱れた体のリズムがリセットされて頭がすっきり。

片道4時間かけて行ってもおつりがくる満足感でした。

今年も当たり前のように行くはずだったのに。

電話越しに、まるで娘のように気遣ってくれる那須野さんと野菜のことから近況まで電話で30分ほどおしゃべりする。

今行けないからこそ、あれはとても贅沢な時間だったんだと感じながら電話を切った。

 

思えば、社会の期待や役割を背負って、自分なりに成長して成果を収めていく世界で、わたしはちょっと疲れていたところがありました。

だから、社会に対してちゃんと帰れるように、自分のための「内」の世界をもとうと作ったのが月1回だけ浅草橋のゲストハウスでやっている「きまぐれ食堂」であり、その先に出会ったのが長野県飯島町の「那須野さんご夫婦」でした。

わたしにとっての「内」の世界は、どんなに小さくても構わなかった。

はじめて自分の部屋を与えられた子供のように、知恵をしぼってリフォームして自分が仕立てる、宝物のような小さなアジト。

 

たとえば、試合で思うように結果がでないときに走りこみするとか、そういう基本をちゃんとやっていく体制を整えていくためには、自分をリセットできる場所だって必要です。

ちょっとだけ体調が崩れるかもしれないし、毎日が真剣勝負になって体力を使うけど、無理をしないで「そこに帰っていく楽しさ」を得ることってとんでもなく贅沢なんじゃないかと思うんです。

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素一致

9.4.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

素一致

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りんご農家さんと初めて会った日、夕食後にりんごをいただき、一口食べると甘くてとてもおいしかった。

 

彼はりんごの話になると愛情たっぷりにこだわりの育て方を熱く語ってくれます。
「摘果(てっか)と葉摘み(はつみ)する時は、りんごの木に相談しながらするもんなの」

「りんごの木の声を聞いて育ててやれば、自然とおいしくなんの」

 

農協が提示する栽培ルールは、おいしいりんごをつくるためではなく、効率的にりんごを栽培、収穫して収入につなげるためのもの。
それを一切無視して独自の感覚でおいしくなるよう育てるため、彼はローカルの中でも変わり者。
同業者には白い目で見られるけれど、本人は全くそんなこと気にしない。

結果的に彼のりんごはおいしく育ち、彼の周りにはその人柄に惹かれて地域の人から移住者まで幅広い年齢層の人が集まる。

 

飯島町に通う理由は、どんな人でも受け入れてくれる開かれた環境があることが大きい。

地域を知るためには、彼のような良いおじさんに出会うことが大切です。

と、こんなことを書いていてふと、長野に通う前、長い付き合いの友人に言われた言葉を思い出した。

彼女は10年以上、心に障害を抱えるこどもたちの教師をしていた人で、 どんな流れでそう言われたか正確には忘れてしまったけれど、「無意識に上からの物言いにならないように気をつけようね」と言われたことがある。

わたしが地域のために何かしたいと話していた時かもしれない。
「地域ではずっと昔からちゃんと経済は回っていて、今困っているわけじゃないよね。困っているはずだから助けてあげようっていう考え方は相手にとって失礼だと思う」

人との丁寧な関係性を大切にする彼女らしいアドバイスだった。
これを聞いてからは、何か始める前にこの言葉を自分に問うようにしています。

 

2人は職業も年齢も性別も違うけれど、お金で繋がる関係性を嫌い、 対面での丁寧な関係性を大切にする姿勢は繋がるものがあると感じます。
世の中「お金」がすべてに見えるけど、ほんとうはそうじゃないってこと。

そこだけは価値観として譲れないところだし、共感できる人が増えるといいなと思う。

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ファンについて

8.2.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

ファンについて

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長野県飯島町は新宿から高速バスで片道4時間の距離にあり、四方を囲むように南アルプスと中央アルプスがきれいで移住者に密かに人気のエリアです。
2019年に友人と訪れてこの場所を知り、コロナ騒動前は月1度週末に訪れるお気に入りの場所。
今は移動制限もあって自由に行けないけれど、都内で月1回地域の食材を使ったランチを提供する「きまぐれ食堂」の活動を通してその地域と継続的に関わっています。

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半ば勢いで始めたため具体的な地域とのかかわり方がわからなかったので、様々な方法を知るために島根県主催のしまコトアカデミーに参加しました。
先進的な地域作りで知られている島根県をフィールドワークしながら地域を学び、実際に現地を訪ねて自分と地域のかかわり方を見つける講座です。
そこで知ったのが、ソーシャル&エコマガジン「ソトコト」の編集長である指出一正さんが提唱する「関係人口」という考え方でした。

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「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域に関わってくれる人口のこと。
週末だけお気に入りの地域で過ごしたり、特産物を買ったり、頻繁ではなくても何らかのかたちで特定の地域を応援してくれるような人のことを指します。

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毎回泊めていただくリンゴ農家さんのご夫婦は、老若男女問わず毎日違う人が入れ替わりでお家にやってくる地域の「関係案内所」のような役割をもった人たち。
このお2人を中心にさまざまなご縁がかさなって、昨年はお米農家さんを都内にお呼びして新米を食べるイベントを開催。
私の好きな農家さんに直接こだわりなどお話しいただく場を周囲の人も巻き込んでつくることができたのは良い経験でした。

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新型コロナウィルス騒動をきっかけに、自宅にこもって作業する時間が増え、緊急事態宣言から「日常生活のオンライン化」が加速し、「人に会う機会」が圧倒的に減ってきています。
「人と直接つながらなくても生きていける時代」になることは良くも悪くも時代の流れなのかもしれません。


リモートワークが促進され、これから本気で「地方移住」を考える若い人たちが増えていくなら、まずは「関係人口」として地域にお気に入りの場所を見つけることからゆっくりはじめていくのもいいかもしれません。
わたしのように出身地ではないけれど、その土地や文化が好きな人を「ファン」と呼ぶなら、ファンからはじめる地域とのつながりについて、もしかしたら「第2の実家」を求めているような感覚だってあるかもしれない。
家族のように気楽に話せる人たちと、自分らしくいられる場所を全国につくることができたら、不安だ不安だって言われている老後だってわくわくする。

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呼吸

7.1.2020

DAYS / Reiko Takami Column

歩いても歩いても

わたしの向こう見ずな挑戦

呼吸

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じぶんの居心地が良いと感じた場所へ、無意識に何度も足を運んでしまう。
つまり、その居心地の良さを、心地よいと安心して信じられる。
これ、じぶんの実家とかが当てはまるけど、例えば自然がある地域はどこでもあてはまるかと言うと、意外にそう思える場所は少ないと感じています。

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長野県の飯島町は、新宿駅から高速バスで4時間の距離にあり、ご縁があって2年前から月1度、週末に訪れています。
現地でお世話になっている地元のりんご農家のご夫婦は、山に入って急な斜面を慣れた様子で突き進む力強さと、面倒見の良いおおらかな性格の持ち主で人望が厚く、老若男女に頼りにされている大黒柱のような存在です。

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そういう環境で何も特別なことを考えたりせずに思い煩うことなく過ごす1泊2日は、わたしをのびのびとさせてくれました。
そして、「これが本来のわたしなんだ」と確認していく。
都心の人混みに混ぜられていた感覚が、ほどけていくように週末を過ごせるこの土地の良さを東京で伝えるにはどうしたらいいんだろうかと、今はまだ空いた時間にふわふわと考えています。

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できることから始めてみようと、この土地にある文化を食を通して知ってもらう目的で「きまぐれ食堂」という1日限定のお店を都内で始めました。 
様々な地域の食材を使い、一緒に楽しくその土地の文化を知るためのお店です。
その活動を通して、その土地に暮らす中で大切にしている価値を再確認し、まずはその土地の人たちにとって、何か楽しいことが始まりそうな期待感のある「良いたまり場」づくりを目指そうと思っています。

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仕事だから通うのではなく、居心地が良いからこそ通いたくなる場所で、大きく息を吸って、風向きを変えて待てないくらい面白い明日を眺めるために。

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create by ALOHADESIGN TSUTOMU KINOSHITA

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ALOHADESIGN WORKS

https://www.aloha-design.com/

art direction, design, editor in chief : Tsutomi KInoshita

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                                          direction : Ayumi Ogo

                                                           Mikiko Shirakura

                                                           Itxaso Zuñiga

                                                           Kaori Kawamura

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